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横浜市立大の病院、がん疑い放置で患者死亡 医師が電子システムを確認せず

 

 横浜市南区横浜市立大学付属市民総合医療センターで、がんの疑いを示す情報が5カ月間放置され患者が死亡した医療事故は、電子処理システムに潜む盲点を浮き彫りにしました。

 専門家は、「重大な病変を見付けたら、電話で直接連絡するなど、人間同士のコミュニケーションを大事にすべきだ」と警鐘を鳴らしています。

 亡くなったのは、コンピューター断層撮影(CT)検査を受けた神奈川県横須賀市の70歳代の男性患者。膵臓(すいぞう)の膨張に気付いた医師は今年1月、「膵臓がんの疑い」とする画像診断書を電子システムを通じて主治医に送りました。

 しかし、主治医が画像診断書を読んだのは6月でした。男性患者が別の病院で膵臓がんと指摘されたため、過去のデータを点検して気付きました。すでに手術できないほどがんが進行しており、男性患者は10月16日に死亡しました。

 10月30日の会見で、医療センターの後藤隆久病院長は「1月に適切に判断していれば外科的な治療が可能だったと考えている。医師・部門間の情報共有ができていなかった」と陳謝しました。

 医療事故に詳しい京都府立医科大学付属病院の佐和貞治医療安全管理部長は、「医療システムの電子化が進んだ2000年以降、同じような問題はあちこちで起きている」と明かしています。

 佐和部長によると、「がんの疑い」などの重要情報を目立たせたり、未読を防いだりする仕組みは、電子システムにもともと盛り込まれていないといいます。「たとえば郵便なら書留で、大事な現金が届いたと確認できる。しかし病院の電子システムのやりとりでは、おろそかになっている」と続けました。

 問題を起こした医療センターは、電子システム上の画像診断書を印刷して主治医に届けるよう改善しました。

 今回の問題は、ほかの医療現場でも深刻に受け止められています。神奈川県立足柄上病院(松田町)は、来年2月に稼働予定の電子カルテシステムに、未読の画像診断書にはアラームで知らせる機能を追加する検討を始めました。

 2012年以降、6人分の画像診断書を放置し、3人が死亡した東京慈恵会医大病院(東京都港区)も、画像診断書の未読をチェックする人員を配置するのに加え、患者に画像診断書のコピーを渡して、主治医に疑問をぶつけられる再発防止策を検討中です。

 佐和部長は、「今のところ電子システムだけでヒューマンエラーを防ぐのは難しい。医師は、システムの足りないところを補完する意識を持たなければならない」と話しています。

 

 2017年11月14日(火)