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■がん治療の光免疫療法、国内でも治験へ 舌がんなど対象、アメリカで実績

 

 光を当ててがん細胞を破壊する新たながん免疫療法について、アメリカのラッシュ大学などが同国内で実施した最初の臨床試験(治験)の結果がまとまり、頭頸(とうけい)部がんの患者8人中7人でがんが縮小したことが明らかになりました。ヨーロッパ臨床腫瘍学会で発表しました。

 これらの結果を踏まえ、日本でも今年中の治験開始を目指して、製薬会社のアスピリアンジャパン社(東京都港区)により準備が勧められています。

 この治療法は「光免疫療法」で、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らが開発しました。がん細胞だけが持つタンパク質に結び付く性質がある「抗体」と、近赤外光を当てると化学反応を起こす化学物質を結合させた薬剤を患者に注射します。その後、体外からや内視鏡を使って近赤外光を患部に当てると、薬剤が結び付いたがん細胞の細胞膜が破壊され、これを切っ掛けに免疫細胞が活性化するといいます。近赤外光はテレビのリモコンなどに使われ、人体に当たっても害がありません。

 最初の治験は安全性確認が主な目的で、手術や放射線治療抗がん剤などで治らなかった舌がん、咽頭(いんとう)がんなど頭頸部がん患者を対象としました。薬剤量を絞り、光も1回だけ当てる治療を実施しました。

 9人の患者が参加し、途中でやめた1人を除く8人について1カ月間、経過観察しました。その結果、3人はがんがなくなり、治療後1年以上たった現在も生存しています。残りの4人はがんが小さくなり、1人はがんの大きさに変化がなく、1カ月半~半年後にいずれも亡くなりました。治療自体による重い副作用はありませんでした。

 小林・主任研究員は、「今回は最低限の治療だったが、他に治療法がない3人の患者が完治したことは大きな成果だ。繰り返し光を当てたり、薬剤を再度投与したりすることで治療効果は改善できる」と話しています。

 日本での治験を準備しているアスピリアンジャパン社によると、頭頸部がん患者を対象にした治験の年内開始を目指し、関係機関が調整を進めています。他の部位のがんについても、実施に向けた検討をしているといいます。

 

 2017年11月12日(日)