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■糖質制限、極端だと免疫力低下で健康被害も 専門家がブームに警鐘

 

 ダイエット目的で米やパンなどの摂取を極端に減らす糖質制限ブームが、「ご飯離れ」に拍車をかけています。飲食業界はご飯抜きメニューを次々と考案するなど対応を進めていますが、「極端な制限は栄養学的に問題」と警鐘を鳴らす専門家もいます。

 「ご飯は全くといっていいほど食べない」と、東京都内で働く会社員女性(26歳)は断言しています。ダイエットのため食事から米を含めた糖質を制限して以来、「明らかにやせた」と効果を実感しているといい、米からできた日本酒も抜くほどの徹底ぶり。

 カレーをご飯ではなく、おからやキャベツの千切りにかけて食べることもあるといいます。「ライスなしでも満腹感を得られる」と話していますが、実は女性の実家は山形県の米農家。実家からは定期的に自家生産した米が送られてくるものの、「実家には伝えていないが、ほとんど友達にあげている」と打ち明けています。

 糖質制限は、ご飯やパン、麺、芋、果物などの炭水化物に含まれる糖質の摂取量を1日130グラム以下に抑えることで体重を減らしたり、血糖値などの検査数値を改善したりすることをねらう民間療法の一種。

 数年前から雑誌やテレビなどが相次いで特集するなどし、広まりました。人気の秘密は、糖質さえ制限していれば、おかずは何でも好きなだけ食べていいという取り組みやすさと、目にみえて現れる効果にあります。

 飲食業界も流行に対応。回転ずし大手「くら寿司」は「野菜(831)の日」に当たる8月31日から、すしのシャリを大根の酢漬けに替える新商品「シャリ野菜」の販売を開始。シャリの量を半分にした「シャリプチ」も提供し、女性客を中心に好評だといいます。

 同社の担当者は、「ご飯は控えたいが、すしを楽しみたいお客様のニーズに合わせた商品」と説明。ほかに、弁当のご飯をブロッコリーや湯豆腐に変更できる飲食店も登場したほか、ご飯以外でも炭水化物である麺抜きで野菜たっぷりのラーメンなどを提供する店もあります。

 文教大学健康栄養学部の福永淑子教授(調理学)は、「健康な人でも極端に炭水化物を食習慣から取り除くなどの糖質制限は免疫力の低下を招き、さまざまな疾病につながりかねない」と強調。「健康被害の恐れもあり、極端な糖質制限の風潮が浸透するのは危険」と警鐘を鳴らしています。

 糖質制限ブームは、日本人の主食である米の消費にも影響を与えかねません。もともと食生活の多様化や人口減などを背景に、日本人の1人当たりの米消費量は1962年度の年118・3キロをピークに下落に転じ、2016年度には年54・4キロ(概算)に半減し、歯止めがかかっていません。

 こうした中、ご飯を食べてやせる「おにぎりダイエット」を提唱しているのが、全国農業協同組合連合会(JA全農)。

 おにぎり1個は約180キロカロリーで、これを基準に食事量をコントロールしてもらいます。2016年2月から、おにぎりを食べてトレーニングをするキャンペーンを始め、実践した人の7割が1カ月間で500グラム以上の減量に成功し、体重が戻るリバウンドも起こしにくいとしています。

 JA全農の担当者は、「極端な糖質制限の風潮は、米を含めた農業生産全体にかかわる問題」と危機感を抱いており、「ご飯を楽しみながら、バランスのよい食事を取ってほしい」と期待しています。

 

 2017年11月11日(土)