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■免疫抑制剤使う子供へのワクチン接種、安全な手法を検討へ 国立成育医療研究センター

 

 免疫を抑える薬を使っているために、水ぼうそうなどのワクチンを接種できない子供たちについて、接種を見送った後に感染症で死亡した事例が報告されていることから、国立成育医療研究センターは全国の医療機関の協力を得てワクチンを接種しながら安全に健康を管理する手法を検討することになりました。

 子供が接種するワクチンには、毒性を弱めたウイルスや細菌を接種する「生ワクチン」と呼ばれるタイプがあり、水ぼうそう、はしか、風疹などのワクチンとして使われていますが、難病の治療や移植手術などで免疫抑制剤を使っている場合には、ワクチンによってその感染症を発症してしまう恐れがあるため、原則、使用できないことになっています。

 しかし、2012年までの10年間に全国で、ワクチンを接種できなかった3人の患者が水ぼうそうを発症して死亡したことがわかり、国立成育医療研究センターの研究チームは免疫抑制剤などを使っている子供もワクチンが接種できる手法を検討することになりました。

 研究チームは、今月から全国300の小児科のある医療機関を対象に、免疫抑制剤などを使っている子供の実態調査を行い、医師の判断で例外的にワクチンを接種している患者がどれくらいいるかや副作用の発生状況、それに、どのような安全管理の元で実施したかなどについて調べるということです。

 対象となるのは、年間1000人程度が発症するネフローゼ症候群と呼ばれる腎臓の病気や臓器移植後の患者、それに下痢や激しい腹痛などを伴う潰瘍性大腸炎などの子供たちです。

 研究チームでは来年度末までに結果をまとめた上で、国や関連する学会などとワクチン接種の必要性やどのような安全管理をすれば接種できるかなどについて検討したいとしています。

 調査を取りまとめる国立成育医療研究センターの亀井宏一医師は、「免疫抑制剤を服用している患者は感染症のリスクが健康な人より高く、本来最もワクチンで守る必要のある患者だ。ワクチン接種の需要が高く、有害事象がほとんどないことがわかれば、学会などの意見を聞きつつ、薬の使用方法を説明している添付文書の文言の修正などを相談していきたい」と話しています。

 ワクチンの問題に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「今回の取り組みは非常に有意義だ」と評価した上で、「感染症のリスクが高いということは生ワクチンそのもので発症するリスクもあり、安易に『免疫が低下している人も生ワクチンを接種して問題ない』と誤解されないように慎重に進めてほしい」と指摘しています。

 

 2017年11月8日(水)