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■血液のがん「多発性骨髄腫」、免疫力を高めて治療 大阪大が新たな手法を開発

 

 血液のがんの一種「多発性骨髄腫」に効果的な新型のがん免疫療法を、大阪大学の保仙(ほせん)直毅准教授(腫瘍免疫学)らの研究チームが開発しました。

 骨髄腫の細胞表面にあるタンパク質の構造を生かした手法で、人の培養細胞やマウスの実験で効果を確認しました。成果はアメリカの科学誌「ネイチャー・メディシン」の電子版に7日、掲載されました。研究チームは2019年度にも、人での治験を始めたいとしています。

 開発した治療法は、免疫細胞のT細胞を遺伝子操作してがんへの攻撃力を高め、患者に戻す「CAR-T(カーティー)細胞療法」の一つ。アメリカでは、急性リンパ性白血病への治療法として今夏に承認されています。

 研究チームは多発性骨髄腫の細胞に結合する1万種以上の抗体を作り、その中から正常な細胞には結合しないものを選択。この抗体を持ったCAR-T細胞を培養し、骨髄腫のマウス16匹に注射すると、12匹は60日間生き延びました。注射しなかった16匹はすべて、40日以内に死んでしまいました。

 抗体は、骨髄腫細胞の表面に存在する特定のタンパク質に結合していました。同種のタンパク質は正常な細胞の表面にもありますが、抗体が結合する部分が隠れる構造になっていました。これに対し、骨髄腫の細胞ではタンパク質の立体構造が変化して、抗体が結合しやすい形になっていることがわかりました。

 保仙准教授は、「タンパク質の構造を標的にした新たな免疫療法の可能性が示された」と話しています。

 多発性骨髄腫は、正常な血液細胞を作れなくなる病気で、国内の患者数は高齢者を中心に約1万8000人とされます。近年は新薬の登場で生存期間は延びていますが、再発して薬が効かなくなることが多いのが課題となっています。

 

 2017年11月7日(火)