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尿道脱

 

尿道の粘膜が尿道の外側にめくれるように脱出する疾患

 尿道脱とは、尿道の出口の粘膜が尿道の外側にめくれて飛び出す良性の疾患。

 小さな女児や高齢の女性にみられます。下着や、排尿後にふいたトイレットペーパーに血液が付いたことにより、気付くことが多いようです。

 また、尿道脱が大きくなると、大豆(だいず)大の腫瘍(しゅりゅう)のように見え、尿道の出口の赤い粘膜の突出に触れることができます。異物があるように感じることもあります。 尿が出にくくなったり、脱出した粘膜が締め付けられると痛みが起きたりすることもあります。しばしば尿失禁や頻尿の症状もあります。

 よく似ているものに尿道カルンクルがあり、こちらは中高年女性の尿道出口の6時方向にできる赤色または暗褐色の良性の小さな腫瘍(しゅよう)で、やはり出血などで気付くことが多いようです。

 尿道カルンクルでは、腫瘍は1カ所で尿道の壁につながっているのに対し、尿道脱ではゴムホースの先端を外側にまくったように、尿道の出口の粘膜全周が反転して外側に飛び出します。指で脱出部分を尿道の中に押し戻すと整復できることがあります。

 尿道脱は、生まれ付き尿道や骨盤内の組織が弱いことも原因の1つです。高齢の女性の場合は、出産時の外陰部の損傷や閉経後の女性ホルモン不足なども原因となっています。

 尿道は一番内側が粘膜で、その外側が内縦走筋、外輪状筋となっており、これら2つの筋肉の間が緩くなって尿道脱が生じると考えられています。せきや便秘などで腹圧をかけることが多い女性は、尿道脱を起こしたり、症状を悪化させたりします。

尿道脱の検査と診断と治療

 泌尿器科、ないし小児泌尿器科の医師による診断では、尿道脱の症状が見受けられる場合、排尿記録を何日分かに分けて、患者に行ってもらいます。また、排尿の勢いや残尿があるかどうかをチェックする尿流・残尿検査を行ったり、尿流動態検査、鎖膀胱(ぼうこう)尿道造影というレントゲン造影検査を追加して行ったりします。

 高齢の女性では、尿道カルンクルなどの尿道腫瘍、尿管の下端部の膀胱につながる部分が膀胱内で袋状に膨らむ尿管瘤(りゅう)との鑑別を膀胱鏡を用いて行います。

 泌尿器科、ないし小児泌尿器科の医師による治療では、まず、女性ホルモン剤の軟こうやステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の軟こうの外用を行います。日本では、女性ホルモン剤の軟こうを医療機関で処方することが難しく、まずはステロイド剤の軟こうを使うことが多いようです。これらの軟こうは症状を改善させますが、67%で再発するといわれています。

 軟こうによる治療で、尿道粘膜の飛び出しが大きくならず、出血や痛みの症状が現れなくなれば、経過を観察します。腹圧をかけると症状を悪くさせるので、便秘を改善させたり、腹圧をかけるような動作も長く続けないように気を付けます。

 また、脱出した尿道粘膜を外側から尿道の中に押し戻し、整復を維持する治療法を行うこともあります。具体的には、膣(ちつ)内に脱出した尿道粘膜の整復を維持するペッサリーという器具を挿入したり、ケーゲル体操を行うことによって、尿道粘膜の整復に必要な骨盤部の筋肉を鍛えたりします。

 ケーゲル体操は、排尿を途中で止める時のように、腟、尿道、直腸の周囲の筋肉に力を入れて約10秒間引き締め、次に力を抜いて約10秒間緩めます。この動作を10〜20回繰り返すのを1セットとして、1日に3セット以上行います。

 軟こうによる治療、整復を維持する治療に効果がみられず、再発したり、出血や痛み、排尿困難などの症状が出る場合は、外科手術の選択もあります。手術は麻酔をかけて、めくれて飛び出している尿道粘膜を切除し、外側の皮膚と内側の尿道粘膜を縫い合わせます。

 状況により全身麻酔もしくは脊椎(せきつい)麻酔で行い、手術に要する時間は30分程度。合併症は少なく、手術中の出血や感染症などが生じる可能性もありますが、程度は軽いものです。手術後はまれに、尿があちこちに飛び散るようになることがあります。

 手術前日に入院し、手術後2、3日は排尿のための管を膀胱内に入れて置くので、5、6日の入院が必要です。手術を行って再発することは少なく、飛び出している尿道粘膜を切除するのみですので、尿道が短くなるようなことはありません。