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機能性尿失禁

 

排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の低下や精神機能の衰えで起こる尿失禁

 機能性尿失禁とは、排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の低下や精神機能の衰えが原因で起こる尿失禁。

 膀胱(ぼうこう)や尿道、その筋肉や神経に問題があって自分の意思と関係なく尿が一時的に漏れるわけではなく、運動機能や精神機能に問題があって、尿意を催しても、それをトイレでの排尿動作に結び付けられずに尿を漏らします。

 この機能性尿失禁は、特に高齢者に多くみられます。

 運動機能に問題があって起こる機能性の尿失禁は、足が不自由だったり、手がうまく使えなかったり、機敏性に欠けたりなど日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)の低下のために、トイレにゆくまでの歩行が緩慢で時間がかかったり、ズボンを下ろしたりする動作に手間取ったりして、尿を漏らします。

 このような状態になる原因としては、脳出血脳梗塞(こうそく)などの脳卒中の後遺症による動作障害、関節リウマチや腰椎(ようつい)骨折、大腿骨(だいたいこつ)骨折などによる運動障害があります。

 精神機能に問題があって起こる機能性の尿失禁は、認知症などによる精神機能の衰えのために判断力が低下し、トイレの場所の認識が薄れる、トイレの使い方がわからない、別の場所をトイレだと思い込む、排尿行為が認識できず尿がたまっているのにトイレにゆく行動を起こせない、などの理由のために、尿を漏らしたり、トイレ以外で排尿します。

 高齢になると、運動機能の低下と精神機能の衰えの両方が交じって複雑になることもあります。治療よりも、トイレにゆきやすい生活環境を見直したり、定期的にトイレに連れてゆくなどの介護の工夫が必要になります。

機能性尿失禁の対処方法

 運動機能に問題がある場合の尿失禁の対処方法

 医師や介護ケアの専門家と相談の上、生活環境や習慣を見直し、残された身体機能をなるべく生かして、自立して排尿できる方法を考えることが大切です。

(1)治療・機能回復訓練(リハビリテーション

 痛みの治療や筋力トレーニングなど、治療や機能回復訓練で治せるものは治します。専門家による評価(判断)が必要です。

(2)トイレ動作の工夫

 寝たきりの人でも、練習によって座ることや立つことができるようになる場合もあります。

(3)介助方法の習得・工夫

 介助の方法がわからなかったり、間違っているために尿失禁になっている場合には、専門家が介護者に適切な介助方法を提案します。

(4)住環境の整備

 生活の場所(寝室)をトイレの近くに移動する、あるいはポータブルトイレを使用する、トイレや廊下などに手すりをつける、廊下の段差をなくす、便器を使いやすいものに替える(和式を洋式にする)など、住環境の整備によってトイレ動作がしやすくなる場合があります。

(5)福祉用具の活用

 用具はさまざまな種類があり、手足の働きを補います。適切な用具を選択することがポイントです。

(6)社会資源の活用

 地域によって異なりますが、生活を支援するさまざまな制度が作られています。これを上手に利用します。

 精神機能に問題がある場合の尿失禁への対処方法

 認知症などによる精神機能の衰えのために判断力が低下している場合、本人のできることを探しながら介助をします。

(1)トイレにゆきたいサインを見付ける

 急に立ち上がろうとする、歩き回る、様子が落ち着かない、突然ズボンを下ろそうとする、ポケットに手を突っ込むなど、本人のトイレにゆきたいサインを見付けられたら、トイレに誘導し、介助します。

(2)トイレの表示をはっきりさせる

 トイレの場所がわからなかったり、間違って覚えている場合、トイレに「便所」と書いたり、明るくしてわかりやすいようにします。トイレの場所を認識するまで、できるだけトイレに連れていくようにします。

(3)着脱しやすい衣服を選ぶ

 慣れた位置にボタンやチャックがある、といった本人がわかる衣服に替えます。

(4)便器の使い方を確認する

 便器の使い方がわからないようであれば、声を掛けます。

(5)後始末は自分でできているかどうか確認する

 泌尿器をふいたり、便器の水を流すことを忘れているようであれば声を掛けたり、介助します。うまくできた時は本人が喜ぶ方法でほめることが、基本です。