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■iPS細胞と微細繊維で生体並み心筋シート ラットに移植し回復、京大と阪大

 

 京都大学の劉莉(りゅうり)特定准教授と大阪大学の南一成特任准教授、澤芳樹教授らは、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から実際の心臓組織に構造が似たシート状の心筋細胞を作る手法を開発しました。

 繊維状の材料を用いて培養し、収縮力を高めました。心筋細胞を移植すれば、心筋梗塞などの患者の治療に役立つとみています。今後2年をかけて、動物実験で安全性や治療効果などを詳しく調べる方針。

 成果は、アメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」(電子版)に27日掲載されました。

 心臓では向きのそろった心筋細胞が協調して働き、ポンプとして機能します。従来の培養法で作った心筋細胞シートは細胞の向きがそろわず、収縮力が弱いなどの課題があったといいます。

 研究チームは、生体内で分解される高分子化合物を使った繊維状の「ナノファイバー(微細繊維)」を活用。一方向に並べたナノファイバーの上で、iPS細胞から作った心筋細胞を培養すると、向きがそろって生体の心筋に近い構造を持ち、弾力性や強度がある心筋細胞シートができました。

 これを心筋梗塞を起こしたラットに移植したところ、心臓が送り出す血液量が増え、1カ月後には心機能が回復しました。細胞の向きがそろうことで収縮を助ける働きが高まるとみており、今後、ブタを用いた実験で詳しく調べます。ナノファイバーは2~3カ月で分解され、安全といいます。

 劉莉准教授は、「大型動物で実験し、次世代の心臓病治療として応用を目指す」としています。

 大阪大はiPS細胞から心筋細胞シートを作り、重症心不全患者に移植する臨床研究を2018年度にも始める計画ですが、今回の心筋細胞シートをすぐ採用するわけではないといいます。

 

 2017年10月27日(金)