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■iPS細胞から心臓の組織モデルを作製し、不整脈を再現 新薬開発に期待、京大

 

 京都大学iPS細胞研究所の山下潤教授(幹細胞生物学)らの研究チームが23日、健康な人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓組織モデルに薬剤を加え、突然死の原因となる不整脈の一種の症状を体外で再現することに初めて成功したと発表しました。

 研究成果は、イギリスの科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」(電子版)に掲載されました。

 再現したのは、国内で年間数万人に上る心臓突然死の原因となる不整脈の一種「トルサード・ド・ポアント(TdP)」。数秒で失神し、10分以内に死に至ることもあるといいます。

 これまで、iPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を用いた不整脈の再現は研究されてきましたが、心筋細胞だけが使われてきたため、複雑な心臓の動きを出現させることは難しかったといいます。

 研究チームは、人のiPS細胞から心筋細胞と、細胞間を埋める線維芽細胞を作製。この2種類の細胞を1対1の割合で混ぜて培養し、シート状の心臓組織モデルを作製しました。シートは直径約8ミリで、細胞5~6層からなるため、約60マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の厚みがある3次元構造になっています。

 このシートに不整脈を引き起こす薬剤を加えて電流を流したところ、TdPと同様の波形が確認されました。

 製薬会社は新薬候補を絞り込む際、心臓にTdPなどの不整脈を起こす可能性の有無を詳しく調べます。従来は培養したネズミの心筋細胞に薬剤を加える手法が一般的で、人への影響が正確にわからない例もありました。iPS細胞を用いる手法も使われ始めていますが、再現できるのは不整脈の前段階の異常で、突然死の原因となる不整脈は難しかったといいます。

 今回の心臓組織モデルを使う手法を活用すれば、薬剤の心臓への影響をより正確に評価できるとみられます。

 山下教授は、「TdPの詳細なメカニズムを解明することで、新薬開発や治療につながる可能性がある」と話しています。

 

 2017年10月24日(火)