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発作性上室性頻拍

 

突然に脈拍が速くなり、突然に元に戻るのを特徴として、動悸を感じる不整脈

 発作性上室性頻拍とは、突然に脈拍が速くなり、しばらく続いた後に突然止まる不整脈

 正常な状態では、右心房の上部にあって、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節から発生した電気信号は一方通行で、心臓の隅々まで伝わって消えてゆきます。次の脈は、新たに洞結節から発生した電気信号によって生じます。

 ところが、何らかの原因で異常な電気回路ができたり、先天的に余分な電気回路があったりすると、突発的に電気信号の旋回(空回り)が始まることがあります。

 原因となる電気回路がある場所は、大きく分けて3つあります。心房と心室をつなぐ結び目に当たる房室結節付近に電気回路がある房室結節回帰性頻拍が、最も多いものです。

 また、正常な状態では、心房と心室をつなぐ電気回路は1本だけですが、それ以外に先天的に電気回路が別にできている場合があります。頻脈発作が出ていない時に特徴的な心電図の波形が出るWPW症候群と呼ばれるものも、その1つです。この場合、正常な電気回路と異常な電気回路を使って、心房と心室の間を電気信号が大きく回る房室回帰性頻拍というものが起こります。これが、2番目に多いものです。

 それ以外の部位で電気信号が小さく回るものや、異常な電気信号を一部の心筋細胞が発生させる心房頻拍というものがありますが、発作性上室性頻拍の1割程度を占めるのみです。

 発作性上室性頻拍が起こると、動悸(どうき)がして息苦しくなります。脈拍数は大抵1分間に150回以上になり、タッタッタッと規則的な動悸が起こります。

 多くの病的な頻脈は、徐々に脈が速くなるのではなく、頻脈発作の開始と同時に一瞬で脈が速くなり、止まる際も一瞬のうちに止まるという特徴があります。発作が起こると、急に激しい勢いで心臓が動き始めるため、血流に十分な圧力をかけられなくなって血圧が下がります。そして、冷や汗やめまい、息切れ、失神を起こしたりします。動悸は、めまいの後で自覚することが多いようです。

 発作性上室性頻拍は、普段規則正しく打っている脈が不規則なリズムになる期外収縮を切っ掛けにして、電気信号の旋回が始まります。そのため、期外収縮の少ない若年者には頻脈発作が起こりにくいのですが、中年以降になると頻脈発作が起こりやすくなります。

 重症な心臓の病気がなく、頻脈発作の頻度が多くない場合には、息をこらえて強く胸と腹に力を入れる、冷たい水を飲む、冷たい水に顔をつける、くしゃみやあくびを繰り返すなどの迷走神経の刺激で頻脈発作を止める処置が、自宅で可能で安全に行えるものです。

 繰り返し症状が現れる場合や、生活に支障が出るほど強い動悸や不快感が現れる場合は、循環器科、循環器内科、もしくは不整脈専門の不整脈科、不整脈内科を受診することが勧められます。

発作性上室性頻拍の検査と診断と治療

 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による診断では、頻脈発作時の心電図検査で発作性上室性頻拍と確定できます。頻脈発作時の心電図がない場合は、24時間ホルター心電図で検査することがあります。

 いずれの場合も、検査中に頻脈発作が起こってないと診断できません。そこで、症状が非常に疑わしい場合は、電気生理検査を行うことがあります。鼠径(そけい)部などから細いカテーテルと呼ばれる電極を心臓に挿入し、電気の通り道を調べるもので、発作性上室性頻拍の原因を探索できます。

 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、あまり発作が起こらず、発作時の症状も軽い人の場合、抗不整脈薬で予防します。

 いったん発作が起こり始めると、内服剤では発作を停止できず、発作が長く続く場合は、注射による治療を行います。

 よく発作が起こり、発作時間が長く、発作時の症状も強い人の場合、経皮的カテーテル心筋焼灼(しょうしゃく)術(カテーテル・アブレーション法)を行い、病気そのものを根本的に治療することもあります。鼠径部などから体内に挿入した細いカテーテルの先端から高周波電流を流し、心筋の原因組織を焼き切って正常化します。この治療法は、心臓の電位を測って映像化する技術が確立したことで実現しました。