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■がん治療、75歳以上の高齢者には控える傾向 国立がん研究センターが報告

 

 国立がん研究センター(東京都中央区)は8日、75歳以上の高齢がん患者に関する報告書をまとめました。がんの種類や進行度によっては、若い世代に比べて治療を受けていない割合が高いことが明らかになりました。

 高齢者の体への負担に配慮して治療法を選んでいるとみられますが、医師の判断に左右される面もあり、高齢者向けの診療指針が求められそうです。

 専門のがん医療を提供する全国の「がん診療連携拠点病院」427施設で、2015年にがんと診断された約70万件の診療情報を調べました。75歳以上が36・5%を占め、平均年齢は68・5歳でした。

 胃、大腸、肝臓、肺、乳がんなどで75歳以上の患者が増加傾向にあり、治療実態が若い世代とは違っていました。

 がんは、ステージ0から4にかけて進行します。例えば早期の状態であるステージ1の大腸がんと診断された40~64歳の患者では、9割以上で手術や内視鏡抗がん剤などの薬物療法を組み合わせた治療が行われ、治療が行われなかったのは1・6%でした。しかし、75歳以上では3倍近い4・6%、85歳以上では18・1%で治療が行われませんでした。

 大腸がんのステージ3では、75~84歳の約52%、85歳以上の約80%は手術のみでした。40~64歳の約16%とは、大きな差がありました。

 がんがほかの臓器に転移したステージ4になると、85歳以上は手術のみが約39%で、治療なしが約36%でした。40~64歳は手術のみが約11%、治療なしは約5%で、手術や内視鏡抗がん剤などの薬物療法を組み合わせた治療が約57%でした。

 肺がん(非小細胞がん)は、85歳以上ではステージ4で見付かる割合が約40%で、治療なしが約58%でした。40~64歳では治療なしは約9%で、薬物療法のみが約49%でした。

 高齢がん患者は糖尿病や高血圧などの持病があったり全身の状態が悪かったりして、若い患者と同じ治療を行うのが難しいとされ、体に負担がかかる手術や抗がん剤の投与などの積極的な治療を控える傾向がうかがわれました。

 調査を行った国立がん研究センターの東尚弘がん登録センターは、「高齢のがん患者にどのような治療を行うかは医師の判断に任されていて、判断を支援するための診療指針の作成が求められる」としています。

 

 2017年8月10日(木)