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■妊娠出産目的の子宮移植、検討チームを設置 名古屋第二赤十字病院

 

 名古屋第二赤十字病院(名古屋市昭和区)は2日、生まれ付き子宮がなかったり、がんで摘出したりした女性に、妊娠・出産目的で第三者から子宮を移植する「子宮移植」の検討プロジェクトチームを院内に設置したと発表しました。

 国内で子宮移植の実施例はなく、安全面や倫理面で専門家の間では慎重な議論が続いています。

 プロジェクトチームは、5月に発足。産婦人科医や移植外科医、移植コーディネーターの看護師ら8人を中心に構成しています。名古屋第二赤十字病院は、腎移植後に免疫抑制剤を使いながら出産した例が70例以上あり、臓器移植後の妊娠管理に実績があるといいます。

 子宮移植を巡っては、慶応大学が中心となって同様の研究チームを発足させているほか、スウェーデンなど海外で複数の成功例があります。

 一方、手術は提供者(ドナー)への負担が大きいほか、移植後の拒絶反応を防ぐ免疫抑制剤による胎児への影響や、生命維持に必要な臓器ではない子宮を移植してよいかといった課題もあります。

 プロジェクトチームでは今後、こうした安全面や倫理面について協議。サルの子宮移植実験に成功した済生会川口総合病院(埼玉県川口市)の三原誠主任医長をアドバイザーに招いたり、海外の成功事例や現地での研修などについて検討を進めていきます。

 がんによる摘出などで子宮がない出産適齢期の女性は、国内に6万~7万人程度いるとみられます。手術は肉親を含む提供者(ドナー)から子宮を摘出し、患者の女性に移植。女性の卵子と夫の精子体外受精させ、できた受精卵を子宮に入れて妊娠、出産に導きます。

 山室理・第一産婦人科部長は、「子宮性不妊の方は今まで全く治療法がなかったので、選択肢が増えれば意義深い。移植するだけでなく、胎児に異常がなく、出産後も無事に育つことが目標だ」、「まだ検討を始めたばかりで、臨床研究実施計画書の倫理委員会や日本産科婦人科学会への提出は何年も先になる可能性もある。国内の学会でも慎重論が多く、検討すべき課題が山積みだ」と話しました。

 日本子宮移植研究会の理事長で京都大学の菅沼信彦教授(生殖医療)は、「自分の体で産みたいという女性は多い。希望が実現するよう議論を盛り上げていきたい」と話しています

 

 2017年8月3日(木)