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心房頻拍

 

心房内の規則的な電気刺激により、心臓の拍動が1分間に140~200回に増える頻拍

 心房頻拍とは、心臓内部の上半分である心房内に異常興奮部位が存在することで、心臓の拍動が1分間に140~200回へと突然増える頻拍。AT(atrial tachycardia)とも呼ばれます。

 正常な心臓では、右心房付近にある洞結節(どうけっせつ)から1分間に60~80回の電気刺激が発生して、心臓内部の上半分である右心房、左心房、心臓内部の下半分である右心室、左心室を規則正しく収縮させることで拍動を起こし、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出しています。

 心房頻拍は、洞結節からの電気刺激ではなく、心房内の異常な心筋細胞から極端に速い頻度で電気刺激が発生してしまうことで起こります。

 頻拍が発生する起源により、異所性心房頻拍、リエントリー(再侵入)性心房頻拍(心房内リエントリー性頻拍、マクロ・リエントリー性心房頻拍)などに分類されます。

 異所性心房頻拍は、比較的狭い異常な心筋細胞が心房内に発生することが原因となるため、起源は多彩です。好発部位は、右心房では分界稜(りょう)、上大静脈、冠静脈洞、左心房では肺静脈入口部周囲。比較的若い人に多くみられます。

 一方、リエントリー性心房頻拍は、洞結節の周囲や、心臓の外科手術で切開した跡の周囲などに、電気的刺激が比較的大きく旋回することが原因となります。

 心房頻拍のほとんどは一過性で、特に心配はいりませんが、突然に拍動が速くなり、突然に元に戻るのが特徴です。頻脈発作の持続時間は数秒から数時間までとさまざまで、起こる回数もまちまちです。

 頻脈発作の持続時間が短い非持続性心房頻拍の場合は、胸がドキドキする感じがするくらいですが、頻脈発作が長く続く持続性心房頻拍の場合や、拍動が1分間に200回くらいになる場合は、強い動悸(どうき)や息切れといった自覚症状を感じることがあります。胸の違和感、不快感を覚えることもあります。

 また、一過性の非持続性心房頻拍でない場合は、心不全を合併するもの、脳梗塞(そくせん)を引き起こすものもあり、心房の拍動が1分間に300回以上と速くなったり、拍動のリズムが不規則になったりする心房細動に移行することもあります。

 心房頻拍は特に原因となる疾患がなくても起こることもある一方で、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)がある人、肺や食道の手術を受けた人、狭心症心筋梗塞を起こしたことがある人などは特にリスクが高くなります。

心房頻拍の検査と診断と治療

 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓の電気的活動を体表面から波形として記録する心電図検査を中心に行います。心電図における真っすぐの基線である等電位線があり、心房の興奮頻度が1分間に140~200回のものを心房頻拍と見なします。

 心臓の拍動数が1分間に100回を超えるような持続性心房頻拍が認められた場合には、胸部X線検査や心臓超音波(エコー)検査を行い、心不全の有無を確認します。発作時の心電図がない場合は、携帯式で小型のホルター心電計を付けたまま帰宅してもらい、長時間の心電図で診断することもあります。

 異所性心房頻拍とリエントリー性心房頻拍の鑑別には、アデノシン三リン酸(ATP)の投与が有用で、異所性心房頻拍では頻拍が停止することが多いのに対して、リエントリー性心房頻拍では心室の興奮が通常より遅れたり、欠落する房室ブロックが生じるものの頻拍自体が停止することはありません。

 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、症状が強い場合、β(ベータ)遮断薬やナトリウムチャネル遮断薬などによる薬物治療を行います。

 効果がない場合や、薬が使えない場合には、極端に速い頻度で電気刺激を発生させている異常興奮部位を探し出し、足の付け根などからカテーテルと呼ばれる電極を心臓内に挿入し、高周波で焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーションという手術を行います。

 一度焼灼された組織は瘢痕(はんこん)化し電気が流れなくなりますので、頻拍は起こらなくなります。