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■受け入れ先が見付からず、治療後も入院継続の虐待児356人 小児科医が全国調査

 

 親から暴行や育児放棄などの虐待を受けて医療機関に入院した子供のうち、医学的な問題がないにもかかわらず入院の継続を余儀なくされた子供が2016年までの2年間に356人いたことが、小児科医の研究チームの調査で明らかになりました。

 21日までに前橋赤十字病院小児科の溝口史剛医師ら3人が調査の報告書を公表し、入院中に保護者から新たな虐待を受けた子供が28人いたことも、明らかになりました。

 虐待や養育力の不足などを理由に、子供が治療後も退院できない「社会的入院」については、厚生労働省も十分に実態を把握できていないため、退院後のゆき先を決める全国の児童相談所への調査を今年度中に進め、対策を検討します。

 研究チームの調査では、社会的入院などの現状を調べるため、全国の963医療機関を対象にアンケート調査を行い、454施設が回答しました。

 その結果、2015~2016年に虐待を受けた子供計2363人の入院が確認されました。このうち治療が終わったにもかかわらず5日間以上、退院できなかった子供が509人(21・5%)いました。

 さらに詳しく調べると、医学的に何ら問題がないにもかかわらず、親元に帰せず、受け入れ先の乳児院児童養護施設、里親が見付からずに入院を続けた子供が356人に上ることが判明。頭部の外傷などにより退院後も医療ケアが必要で、受け入れ先がないため退院させられない子供も143人いました。

 研究チームは、詳細な報告があった126人ぶんの状況を分析。退院できなかった期間は、2週間未満が58人、2週間以上1カ月未満が31人、1カ月以上が37人で、中には9カ月近く、退院できなかった子供もいました。また、子供の年齢は、1歳未満の乳児が71人で過半数の56%を占めたほか、小学校入学前の幼児が30人(24%)、小学生が14人(11%)、中学生以上が11人(9%)となっています。

 報告書では、「2週間を超えて社会的入院が続くことは、大いに問題。病院に長く居続けると、心や体の発達に悪影響を及ぼす恐れがあり、早急に受け入れ先の施設などを拡充すべきだ」と指摘しています。

 一方、今回の調査では、入院時に付き添った保護者による新たな虐待の発生状況も調べました。その結果、2015~2016年に28人が院内で虐待を受けていました。期限を設けず保護者による院内虐待について調べたところでは、65人の事例が確認されました。このうち35人は、死亡につながりかねない重度の虐待でした。

 治療の終わった子供が退院できない大きな理由の1つに、児童相談所が扱う虐待の件数が急増し、受け入れ施設がなかなか見付からない現状があります。

 厚労省によりますと、児童相談所が対応した虐待の件数は、2015年度には過去最多の10万3000件余りに達し、5年前のおよそ1・8倍に増加しています。虐待を理由に、子供を親元から一時的に引き離す「一時保護」の件数も、1万7800件余りに上り、子供が多い都市部を中心に、虐待を受けた子供を預かる一時保護所や児童養護施設などの空きがなくなるケースが増えています。2015年度には、全国8カ所の一時保護所で平均の入所率が100%を上回り、19カ所で80%を超えています。

 児童相談所の職員の負担が年々大きくなっていることも、退院できない子供がいる要因の1つです。虐待の対応件数は、2015年度までの10年間で3倍に急増した一方、現場で対応に当たる児童福祉司の人数は、およそ1・5倍の増加にとどまっています。

 

 2017年7月23日(日)