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■家畜の飼料に混ぜる抗菌薬、コリスチンなど2種を禁止に 農水省、薬剤耐性を懸念

 

 家畜の成長を促進させるため、飼料に混ぜて使うことが認められているコリスチンなど2種類の抗菌薬について、農林水産省が飼料添加物としての指定を取り消し、使用を禁止する方針を固めたことが13日、明らかになりました。

 薬の効かない薬剤耐性菌が家畜の体内で発生し、食品や環境を介して人に感染することで、健康に悪影響が出るリスクが無視できないと判断しました。

 薬剤耐性菌による死者は、世界で年間70万人に上るとの試算もあり、2016年の伊勢志摩サミットで各国は原因となる抗菌薬の適切な使用を進めることに合意しました。日本での禁止は合意後初めて。

 抗菌薬を健康な牛や豚、鶏の餌に少量加えて与えると、成長が早くなることがあります。はっきりとしたメカニズムは不明なものの、国内外ではこうした成長促進目的の利用が認められてきました。しかし、最近は使い過ぎで薬剤耐性菌が生まれ、食品や環境を介して人にも広がる懸念が指摘され、欧州を中心に禁止する動きが広がっています。

 今回、飼料添加物としての指定を取り消すのは、コリスチンとバージニアマイシンの2種。農水省の審議会での検討を経て、本年度中にも正式に決めます。

 コリスチンは、人や家畜の感染症治療薬としても承認されており、治療目的の使用は引き続き認めます。

 食品安全委員会農水省の検討に先立ち、家畜に抗菌薬を与えた場合のリスク評価を実施。いずれの薬剤も、家畜の体内で薬剤耐性菌ができる恐れがあるとしました。薬剤耐性菌が人に感染すると、抗菌薬治療を受けても効果が弱まる可能性が否定できないなど、中程度のリスクがあります。

 飼料添加物として国内に流通するコリスチンの量は、2015年度で約23トン。国が流通量を把握している中では、全体の12%を占めます。バージニアマイシンは、ゼロでした。農水省畜産農家への影響が小さくなるよう、代替物の開発などを進めたいとしています。

 コリスチンは、多剤耐性菌に感染した患者を治療する際、医師が頼りにする「最後のとりで」として使われています。しかし、すでに人の体内から薬剤耐性菌が見付かり、近い将来、あらゆる抗菌薬が効かない細菌が出現するのではないかとの懸念が出ています。

 動物用に販売される抗菌薬の量は、飼料添加物と医薬品を合わせると国内全体の約6割を占め、人の医薬品を大きく上回ります。動物への使用で現れた薬剤耐性菌が人に伝わった例も報告されており、拡大を防ぐため、動物も含めた総合的な対策を進めることが重要。

 薬剤耐性菌は自然の状態でも一定の割合で発生しますが、抗菌薬を安易に使うと普通の細菌が死に絶え、薬剤耐性菌のみが生き残って増えやすくなります。

 国内では1980年代以降、免疫が低下した重症患者が多い病院での薬剤耐性菌への感染が深刻な問題となってきましたが、最近は中耳炎など、抗菌薬で簡単に治療できていた有り触れた病気が、治りにくくなる例が増えています。

 動物への使用で人に影響が出た例には、抗菌薬のバンコマイシンがあります。院内感染などで問題になるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSA)の治療に使われる重要な薬剤ですが、似た構造を持つアボパルシンが、家畜の成長促進に使われたことが一因となり、薬剤耐性菌が発生し、人にも広まったとされます。

 飼料添加物として認められている抗菌薬は、2016年3月時点で23種類に上ります。政府は薬剤耐性菌対策の行動計画で、人と動物の保健衛生を一体的に進めることを決めており、飼料添加物のリスク評価を順次進めます。農水省は人への悪影響を減らすことを最優先として、リスクがあると評価された場合、原則として指定を取り消すとしています。

 

 2017年7月15日(土)