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■医師の死亡診断、看護師が送る診療データで可能に 今年度内にも運用開始へ

 

 医師による対面が原則の死亡診断について、厚生労働省は今年度内に規制を緩めます。医師がすぐに駆け付けることができない場合に、スマートフォンなどを通じて患者の状況を把握することなどを条件に死亡診断書を出せるようにします。

 高齢化に伴い死亡者が増える多死時代を迎える中、自宅や介護施設、医師不在の離島などでのみとりがしやすくなります。

 医師法は、死亡診断書の交付に医師の診察を義務付けており、埋葬や火葬にも死亡診断書が必要です。現状では、医師の診察を受けられない患者は、亡くなる直前に救急搬送されたり、死亡後に「異状死」として届け出て遺族らが警察に事情を聴かれたりすることがあります。

 こうした現状を改善する運用の流れは、自宅療養する患者宅などを看護師が訪問し、心停止や呼吸の停止、瞳孔の開きを間隔をおいて2回確認。外傷の有無なども観察し、スマートフォンタブレット端末で遺体の写真などとともに医師に送ります。医師は「死亡」と確認すれば、看護師に死亡診断書の代筆を指示し、医師はテレビ電話などを通じて遺族に口頭で説明します。

 代筆を指示できるのは、患者が死亡する2週間以内に診療していた医師。出張や当直業務中などですぐに対応できないなど、到着までに12時間以上かかる場合を想定します。ほかに生前にICT(情報通信技術)を活用した死亡診断に患者と家族が同意している、死期が予測されている、診察した病気以外での死亡の場合は警察に届けるなどを条件とします。

 政府は昨年6月、みとりを円滑に進めようと、一定の条件を満たせば医師が対面診察しなくても死亡診断できるようにする見直しを盛り込んだ規制改革計画を閣議決定しました。

 これを受けて厚労省研究班(研究代表者=大沢資樹(もとき)・東海大学教授)は、20年ほど前から看護師が死亡診断できるイギリスの状況などを調査し、ICTを活用した指針案をまとめました。厚労省は今後、自治体や関係団体に指針を通知し、通信機器の整備や看護師の育成を進め、今年度内にも遠隔での死亡診断を始める方針。指針案は、遠隔での死亡診断を全例把握し、検証していくことを求めています。

 大沢教授は、「死という機微に触れるデータが流出していかないような仕組みづくりが大きな課題だ」と話しています。遺体を撮影する手順について、「家族の心情に配慮して進めるとともに、社会が受け入れる土壌をつくっていかなければならない」とも指摘しています。これらの仕組みが犯罪に悪用されないようにすることも、重要です。

 2015年に約130万人だった死亡者は、ピークの2039年には36万人ほど多くなると見込まれます。現状では8割が病院など医療機関で亡くなっていますが、自宅や介護施設でみとりができる体制を整えないと、病院のベッドが足りなくなることが懸念されています。

 

 2017年7月3日(月)