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■厚労省、完全な遠隔禁煙外来を認可へ 医師の面談なし、禁煙薬を配送

 

 厚生労働省は、禁煙外来で医師の直接面談が必要ない「完全遠隔診療」を近く認める方針を固めました。企業の健康保険組合など信頼できる実施主体が情報通信技術(ICT)を使う場合に限定する見通しで、9月までに通知を出します。

 遠隔禁煙外来を導入する企業が増えれば、たばこをやめたい人が通院や順番待ちで時間を浪費することがなくなり、国民の健康増進につながると期待されます。

 医師法が「自ら診察しないで治療をしてはならない」と定めているため、遠隔診療の対象は従来、対面診療が物理的に困難な離島やへき地の人、がんや難病で在宅治療に移行した人らに限られてきました。患者側からの拡大の要望もあり、厚労省は2015年の通達で、遠隔診療を離島やへき地の患者に限らず、病気の種類も限定しないことを明確化。ただし、一度は対面で診療するよう定めていました。

 今回、通信技術の進展や健康志向の高まりを受け、対面診療のない完全な遠隔禁煙外来を認めることになりました。患者の安全確保のため禁煙外来以外の遠隔診療では、医師が必ず一度は対面で診察する原則を堅持します。

 禁煙外来は、12週間で最大5回の通院に健康保険が適用されるものの、多忙な人は通院の継続が難しく、厚労省の調査で64%の患者が途中で脱落していました。

 これに対し、医師がスマホやパソコンのビデオ通信を通じて患者を診察する遠隔診療は、時間短縮やコスト削減が可能で、処方された禁煙薬は自宅や職場に送られます。継続が容易とされ、大企業の健康保険組合を中心に近年、導入例が相次いでいます。

 さらに対面診療の必要がなくなることで、禁煙外来のない地域に住む社員も利用しやすくなり、健康格差の解消につながるとみられます。

 遠隔診療でも診療報酬は発生しますが、遠隔禁煙外来サービスを提供する民間企業「リンケージ」によると、通常の通院に比べて総費用を1割以上安くできるといいます。健康保険組合などの医療保険者が健康診断と連動して実施すれば、従業員とその家族を合わせて1000万人以上が対象になり得るともいいます。

 遠隔禁煙外来は、1~2週間ごとに4回程度実施し、1回当たり数十分間医師が診察して治療法を指示します。保健師が助言するケースもあり、サービスを提供する民間企業の職員が数十週間にわたってメールで様子を聞き、脱落を防ぐ例もあります。

 日本禁煙学会理事の吉井千春・産業医科大学若松病院呼吸器内科診療教授は、「通院の禁煙外来は日中に限られ、治療が必要なのに来られない人は多い。完全遠隔外来で治療のチャンスが広がるのはよいことだ。ただ、薬を送って終わりというのではなく、禁煙治療がうまくいかなかった時にしっかりフォローする仕組みも必要で、よりよい形をさらに模索すべきだ」と話しています。

 

 2017年7月2日(日)