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■青森県の胃がんと大腸がん検診で患者の4割見落としか 2万5000人を対象に追跡調査

 

 がんによる死亡率が12年連続で全国最悪の青森県は、がんの早期発見につなげようと県内の10の町と村で自治体のがん検診を受けた人を対象に調査し、胃がんと大腸がんについて検診の段階で患者の4割が見落とされていた可能性があることを示す分析結果をまとめました。

 がん検診の質を県が主体となって調べたのは、今回が全国で初めてです。

 人口10万人当たり何人ががんで死亡したかを示す2015年の年齢調整死亡率が96・9で、12年連続で全国最悪となった青森県は、胃がん、大腸がん、子宮頸がん、肺がん、乳がんの5つのがんについて、2011年度に自治体によるがん検診を受けた県内10の町と村の住民延べ2万5000人を対象に、その後の経過を調べました。

 がん検診を受けて異常なしと判定されたのに1年以内にがんと診断された人を見落としの可能性があると定義し、その割合を調べたところ、がん検診の段階でがんを見落とされた可能性がある人はバリウムによるX線検査を行った胃がんで40%、便に含まれる血を調べる便潜血検査を行った大腸がんで42・9%、子宮の入り口の細胞を調べた子宮頸がんで28・6%に上ることを示す分析結果がまとまりました。一方、肺がんは16・7%、乳がんは14・3%でした。

 専門家によりますと、一般にがん検診では20%程度の見落としは許容範囲と考えられているということです。がんの発見率を100%にしようとすると、がんでない多くの人に本来必要でない精密検査を行うことで結果として健康被害を引き起こす恐れがあるためで、20%程度の見落としであれば多くの場合、初期のがんでもあり、次回の検診で見付ければ影響も少ないためだということです。

 今回の調査結果は胃がんと大腸がんで20%を大きく上回っており、調査を行った弘前大学の松坂方士准教授は「4割というのは驚きでがんによる死亡率が高い原因の1つの可能性がある。がん検診は極めて重要な対策なので、今後は受診率を上げるとともに検診の質を高めていく取り組みを進める必要がある」と話しています。

 青森県は「4割捕捉できていないことは課題として受け止めたい。今回は町村部が対象でまだサンプル数が少ないので、今後、市部も含め複数年度調査を行いがん検診の質の向上に努めたい」と話しています。

 専門家によりますと、今回の調査は自治体が医療機関を通じてがん患者の情報を集める「地域がん登録」システムのデータが整ってきたことなどで可能になったもので、国立がん研究センター検診研究部の斎藤博部長は「検診の質をどう管理するかは全国共通の課題でほかの自治体でも同様の検証を行うべきだ」と指摘しています。

 

 2017年6月29日(木)