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■山梨大、脳機能修復を促す細胞を発見 脳卒中の予後治療に期待

 

 山梨大学医学部薬理学講座の小泉修一教授(神経科学)らの研究チームは、脳卒中が起きた後、傷ついた細胞を「食べる」ことで脳の修復を促す新たな細胞を発見しました。慶応義塾大学、生理学研究所新潟大学群馬大学との共同研究。

 成果は22日付で、イギリスの電子科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されました。

 脳卒中は国内での死因として4番目に多い病気で、患者数も約120万人と多く、命を取り留めても、まひや言語障害などの重篤な後遺症が残ることが問題となっています。脳の血流が滞り、酸素や栄養が細胞に届かなくなることで、細胞が徐々に死滅していきます。

 研究チームは、脳に栄養を供給するなどの機能を持つことが知られている脳の細胞「アストロサイト」に注目。脳卒中モデルのマウスで観察すると、ダメージを受けて傷ついた細胞の切れ端や壊れた細胞から漏れ出した成分を、包み込んで「食べる」様子が観察されました。

 この食べる働きは、不要なものを脳から除去するための仕組みで「貪食(どんしょく)性」と呼ばれる。これまで別の脳細胞「ミクログリア」が貪食性を持つ細胞として知られてきましたが、アストロサイトも同様の機能を持つことが確認されました。

 また、ミクログリアとアストロサイトは活動する時期や場所が異なることもわかりました。ミクログリアは発病直後にダメージを受けた中心部に集まり、死んだ細胞をまるごと食べます。一方、アストロサイトは発病1週間後をピークに働き、周辺の傷ついているものの、まだ生きている細胞の傷ついた部分を選択的に食べていることがわかりました。

 小泉教授は、「2つの細胞で役割分担をして、特にアストロサイトは発病後の神経機能の回復に重要である可能性がある」と指摘しています。

 研究チームは、アストロサイトが貪食性を獲得するのにタンパク質「ABCA1」が必要であることも発見。小泉教授は、「ABCA1をコントロールできる薬が見付かれば、脳卒中の予後やリハビリのプログラム開発に役立つかもしれない」としています。

 

 2017年6月25日(日)