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■九大、脊髄の再生促す手法を開発 タンパク質注射で「かさぶた」の形成を抑制

 

 九州大学の岡田誠司准教授(整形外科学)らの研究チームは、傷ついた脊髄(せきずい)の再生を促す手法を開発しました。損傷部に特殊なタンパク質を注射して神経回路を修復するもので、マウスを使った実験では運動機能が改善しました。

 成果は20日付で、アメリカの医学誌「ネイチャーメディシン」電子版に発表しました。

 ほ乳類の脳や脊髄などを走る中枢神経は手足などの末梢(まっしょう)神経と違って、事故などでいったん損傷するとほとんど再生せず、手足のまひなどの重い後遺症が残ります。損傷部の周りで、「かさぶた」のような組織ができて神経の再生を妨げることが知られていますが、詳しい仕組みはわかっていませんでした。

 研究チームは、わざと脊髄を傷つけたマウスの中枢神経を分析し、特定の型のコラーゲンが数十倍増えていることを発見。そのコラーゲンと、アストロサイトという細胞が反応して「かさぶた」ができることを突き止めました。細胞表面にくっ付く、ある種のタンパク質を注射して反応させないようにすると、「かさぶた」の形成が抑えられることを解明しました。

 岡田准教授らはマウスの脊髄を壊し、7日後、損傷部にタンパク質を3回注射。注射しないマウスは足を引きずったままでしたが、注射したマウスは足を引きずらなくなり、神経の再生効果が確認されました。

 脊髄損傷の根本的な治療法は、まだありません。岡田准教授は、「損傷しても『かさぶた』ができないようにする治療が、人でも可能になるかもしれない」と話しています。

 脊髄損傷の治療を巡っては、神経幹細胞などを移植して再生させる臨床研究が始まっていますが、受傷後時間がたつと「かさぶた」が厚くなり、効果が上がらない問題があるといいます。

 岡田准教授は、「『かさぶた』の形成を抑えられれば、幹細胞移植の効果がより高められるのではないか」と話しています。

 

 2017年6月20日(火)