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■筋肉の難病ALSに白血病治療薬が有効 京大、患者iPS細胞を使い解明

 

 京都大学iPS細胞研究所の井上治久教授(神経内科学)らは24日、全身の筋肉が次第に衰えていく難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)の治療につながる薬の候補物質を突き止めたと発表しました。

 マウスを使った実験で、慢性骨髄性白血病の治療薬の効果が高いことを確かめました。すぐに使えるわけではないものの、有効な治療法がない難病の克服に近付いたとみています。

 ALSは脊髄(せきずい)にある運動神経が徐々に機能を失って全身の筋肉が動かなくなる病気で、進行すると呼吸も難しくなります。50歳以上に多く、国内に約9000人の患者がいるとされますが、発病の詳細なメカニズムは不明で根本的な治療薬が見付かっていません。

 研究チームはまず、ALSの患者の皮膚からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製し、運動神経細胞に変化させて調べました。健康な人から作った神経細胞と比べると、異常なタンパク質が蓄積して細胞死が起こりやすくなることを見付けました。さらに、処方薬など1416個の化合物について調べたところ、27個が細胞死を強く抑えていました。

 このうち慢性骨髄性白血病の治療薬「ボスチニブ」は、細胞内で不要なタンパク質を分解するオートファジーを促す機能があり、ALSの原因タンパク質を減らすとわかりました。ALSにかかっているマウスにボスチニブを投与すると、発症を平均10日遅らせて生存期間を平均8日延ばす効果を確認できました。

 いろいろなタイプのALSに効果が期待できるといいます。井上教授は、「投与する濃度や副作用、安全性など基礎的な研究に数年、新たな薬の開発には5~10年の時間がかかる。すぐに治療に使用できるわけではないが、治療薬研究の進展に貢献する成果だ」と話しています。

 

 2017年5月27日(土)