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■妊産婦死亡など相次ぐ無痛分娩、全国実態調査へ 日本産婦人科医会

 

 麻酔を使って出産の痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」で妊産婦が死亡するなど重大な事故が起きていることから、産婦人科の医師でつくる日本産婦人科医会は全国2400の分娩施設を対象に無痛分娩の実施件数や、重大な医療事故につながりかねない事例がどの程度起きているのかなど、初の実態調査に乗り出すことになりました。

 無痛分娩は、出産の際に麻酔をかけ、陣痛を和らげる分娩方法で、出産に伴う疲労を軽減する利点があり、アメリカやフランスでは広く普及しています。国内でも、高齢出産の増加でニーズが高まっています。

 ただ、息みづらくなって出産の時間が長引き、新生児を器具で吸引する処置が必要になるなどのリスクもあり、麻酔の投与の問題から妊産婦が死亡するなど重大な事故も起きています。

 このため日本産婦人科医会は、全国およそ2400の分娩施設を対象に、過去3年間の無痛分娩の実施件数や、どのような立場の医療従事者が麻酔薬を投与しているのかなど、実態調査をすることになりました。また、重大な医療事故につながりかねないいわゆる「ヒヤリ・ハット」の具体的な事例についても調査し、無痛分娩を実施する上での課題も明らかにしたいとしています。

 日本産婦人科医会の石渡勇常務理事は、「無痛分娩は、適切に行えば安全で大きなメリットがあるが麻酔薬を誤って投与すると呼吸ができなくなる可能性があり、緊急時には専門知識が必要だ。一方で、麻酔の専門医は少なく、一般の産科の医師が実施しているケースが多いのが現状で、調査を通じより安全な無痛分娩に向けた課題や注意点を浮き彫りにしたい」と話しています。

 日本産婦人科医会では、この夏にも調査結果を報告書にまとめ、関連学会と連携して産婦人科医の研修の実施や安全性向上のための指針策定を進めることにしています。

 無痛分娩を巡っては、厚生労働省研究班が2010年1月から2016年4月までに日本産婦人科医会が報告を受けた妊産婦死亡298例を調べたところ、無痛分娩だった出産が13例ありました。研究班は今年4月、無痛分娩を行う医療機関に対し、急変時の体制を十分整えるよう緊急提言を出しています。

 

 2017年5月13日(土)