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■京大、iPS細胞で拡張型心筋症の治療へ 来夏にも臨床研究を申請

 

 他人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓組織を貼り付けて「拡張型心筋症」を治療する研究を、京都大学iPS細胞研究所の山下潤教授(再生医学)らのチームが進めています。

 来年の夏にも、患者に対して効果と安全性を確かめる臨床研究の実施を国に申請するといいます。

 山下教授らは、iPS細胞を心筋や血管など3種類の細胞に変え、薄いシートに加工。シートを最大で15枚重ねて、厚さ1ミリ弱の心臓組織を作製しました。シートの間にゼラチンの微粒子で酸素が通る透き間を作り、中間層の細胞が死なないように工夫を凝らしました。

 拡張型心筋症のハムスターを使った実験では、心臓の細胞死や変質が減り、病気の進行が抑えられました。臨床研究が認められれば、京大病院で移植が必要な成人の患者数人の治療を行うといいます。

 拡張型心筋症は、心臓の収縮力が弱くなり、膨らんだ状態になる原因不明の国指定の難病で、厚生労働省によると、2014年に国から医療費の助成を受けた患者は約2万8000人。主な症状は、呼吸困難や全身の倦怠(けんたい)感、不整脈などで、突然死するケースもあります。薬などで治療できない場合は、心臓移植が必要となります。

 iPS細胞を利用する心臓病治療では、心筋の細胞だけで作った厚さ0・1ミリ程度のシートを心臓に貼り付ける研究も進んでいます。

 山下教授は、「今回作製した組織には、血管になる細胞も含まれているため心臓に定着しやすく、心臓移植が受けられない人にも有効な治療になると期待している。将来的には、手術がより困難な小児への応用も検討したい」と話しています。

 柴祐司・信州大学教授(再生医科学)は、「移植した組織が心臓と同じリズムで拍動するかなどを慎重に確認する必要があるが、多くの細胞を必要とする心臓の再生で、厚い組織を使うのは理にかなっている」とコメントしています。

 

 2017年5月10日(水)