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■福島原発事故の時に4歳の男児、甲状腺がんと確定 甲状腺検査で経過観察後に

 

 2011年3月11日に東京電力福島第一原発事故が起きた当時18歳以下だった約38万人を対象にした福島県甲状腺検査で、経過観察となった事故当時4歳の男児(10歳)が昨年、甲状腺がんと診断されていたことが3月31日、明らかになりました。

 昨年6月の福島県の検討委員会の発表で、事故当時5歳だった1人ががんと診断されており、5歳以下では2人目。

 甲状腺がんを発症した子供を支援する民間の「3・11甲状腺がん子ども基金」(東京都品川区)が、記者会見で明らかにしました。

 男児は2014年に受けた甲状腺検査の2次検査で経過観察とされた後、福島県立医科大学で2015年にがんの疑いが明らかになり、2016年前半に甲状腺の摘出手術を受けてがんが確定したといいます。同基金側は男児に療養費として10万円を給付し、男児は現在、通院治療中です。

 甲状腺検査では昨年末時点で、全体で145人ががんと確定。検討委員会では「被曝(ひばく)の影響は考えにくい」として、その理由の一つに、チェルノブイリ原発事故後にがんが多発した5歳以下で、ほとんど患者が見付かっていないことを挙げています。

 検討委員会には2次検査でがんの疑いが見付かったケースが報告される仕組みで、男児は報告対象ではありませんでした。

 福島県立医科大学は「一般の診療情報なので報告しなかった」と説明していますが、同基金は「経過観察の結果がわからなくなり、報告に入らないのは問題だ。原発事故の影響がないというこれまでの説明の根拠が揺らいでいる」と指摘しています。

 検討委員会の成井香苗委員(臨床心理士)は「事故影響を正しく判断できない」と指摘し、複数の委員が「報告対象に加えるべきだ」と話しています。

 福島県の県民健康調査の担当者は、「2次検査で経過観察とされた後に、がんと診断されたり、別の医療機関に移って、がんが見付かったりした患者たちを網羅的に把握することは困難なため報告していない」とした上で、「検討委員会で現在の仕組みを見直して報告すべき対象を広げるか議論があると思う」と話しています。

 甲状腺は、のどの下にある重さ10〜20グラム程度の小さな臓器で、成長の促進にかかわるホルモンを分泌する働きがあります。原発事故後に懸念されたのが、この甲状腺が事故で放出された放射性ヨウ素を取り込んで引き起こす甲状腺がん。特に成長過程の子供は体内で細胞が活発に分裂を繰り返しているため、傷付いた細胞の遺伝子の修復が進みにくく、影響を受けやすいとされています。

 旧ソビエトチェルノブイリ原発事故では、周辺地域の住民が主に牛乳や乳製品などを通じて放射性ヨウ素を取り込んだとされており、国連の専門委員会は、約6000人が甲状腺がんになり、2006年までに15人が死亡したという報告書をまとめています。

 

 2017年4月2日(日)