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■エイズウイルス感染に気付いていない人、推計5800人 厚労省が検査体制を強化へ

 

 エイズウイルス(HIV)に感染しながら気付いていない人が、昨年末の時点でおよそ5800人に上るという初めての推計を、厚生労働省の研究班がまとめました。

 厚労省は、感染の拡大が進む恐れがあるとして、検査体制を強化する方針です。

 厚労省によりますと、保健所や医療機関などでエイズウイルスの感染が確認された日本人は、昨年までにおよそ2万2971人に上っています。これに対し研究班は、感染の広がり方や過去のデータなどを詳しく分析して、実際に感染している日本人は、昨年末の時点でおよそ2万8300人に上るという初めての推計をまとめました。

 このうち、5人に1人に当たるおよそ5800人は、検査を受けていないためにエイズウイルスへの感染に気付いていないとみられるということです。

 研究代表者で、北海道大学大学院医学研究科の西浦博教授(理論疫学)は、「感染に気付いていない人は、予防をせずに性行為などをしてしまうため、他人を感染させてしまうリスクが高い。早急に対策をとらないと、感染の拡大が進む恐れがある」と指摘しています。

 厚労省は、検査体制を強化するとともに、感染に心当たりがある場合は定期的に検査を受けるよう呼び掛けています。

 エイズウイルスは、性行為によって感染するケースがほとんどです。厚労省によりますと、昨年末までのおよそ1年間に感染が確認された1440人のうち、エイズ後天性免疫不全症候群)を発症して初めて感染が判明したのは437人で約3割。また、同性間の性行為による感染が67%を占めた一方、異性間の性行為による感染も20%に上りました。

 エイズウイルスに感染してからエイズを発症するまでは数年から10年ほどの潜伏期間があり、自覚症状がほとんどないため、その間に感染が広がる恐れがあると指摘されています。

 エイズ治療の拠点となっている、東京都の国立国際医療研究センター病院の照屋勝治医師によりますと、エイズを発症すると、重い肺炎などになり、治療が遅れると死亡することもある一方、発症前であれば、ウイルスの増殖を抑える薬を毎日服用することで、ほとんどの患者は健康な人と変わらない生活を送ることができます。

 照屋医師は、「HIVは、同性愛者に限らず、性行為を通じて誰にでも感染する恐れがある上、最近は感染のリスクを高める梅毒が流行しているため、これまでよりも感染が広がる恐れもある。避妊具を使わずに不特定多数と性行為をした経験がある人など、少しでも心当たりがあれば、定期的に検査を受けてほしい」と指摘しています。

 保健所などが実施した検査は減少傾向が続き、昨年は11万7800件と、ピークだった10年前より6万件ほど減っています。

 検査が普及しない背景には、医師や保健師との対面での検査に心理的な抵抗を感じる人が多いことに加え、検査できる日と時間が限られるため、利用しにくいという指摘もあります。

 こうした中、インターネットで申し込んで検査キットを購入し、検体を民間の検査機関に送る「郵送検査」の利用が広がり、厚労省の研究班によりますと、一昨年1年間の検査件数はおよそ8万6000件に上っています。

 しかし、利用者が自分で採血することなどから、保健所などでの検査に比べると精度が高いとはいえない上、陽性と診断された患者を確実に医療機関への受診につなげる仕組みがないことが課題となっており、厚労省は今後、民間の検査機関向けの指針を作るなどして、検査の精度向上やプライバシー保護など態勢整備を提言することにしています。

 

 2017年3月31日(金)