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■匿名で提供の卵子を使った初の子供が誕生 NPOが仲介

 

 病気などで自分の卵子で妊娠できない女性に対し、第三者からの卵子提供を仲介する神戸市のNPO法人卵子提供登録支援団体(OD―NET)」は22日、匿名の女性がボランティアで提供した卵子体外受精させて移植した不妊の女性が1月に出産したと発表しました。

 国内では姉妹や友人が提供した卵子での出産例はありますが、見ず知らずの第三者が匿名で提供した卵子を使った出産が公表されたのは、初めてのことです。

 厚生労働省によると、同省の部会が2003年に第三者の卵子精子の提供を認める報告書をまとめていますが、法制化はされていないといいます。

 OD―NETは不妊治療専門医やカウンセラー、卵子がない患者の家族らで構成しており、病気などのため卵子はないが出産可能な夫婦に対して、無償で卵子を提供するボランティアの募集を2013年に開始。卵子の提供者は35歳未満で、すでに子供がいることなどを条件としています。

 OD―NETによると、昨年、40歳代の夫の精子と30歳代半ばの女性から提供された卵子体外受精させて受精卵をつくり、感染症がないことを確認して、若い時期に卵巣の機能が低下する早発閉経で不妊の妻に移植。今年1月に生まれたのは女の子で、母子ともに健康だということです。

 現行の民法では新生児の母親は妊娠・出産した妻となりますが、遺伝子は夫と、卵子を提供した女性から引き継ぐことになります。

 OD―NETの岸本佐智子理事長は、「長年の希望がかない子供が生まれたことがうれしくて涙が出た。その一方で、日本では法律がなく、子供の福祉が守られない可能性があることを危惧している。現実をみて親子関係を明確に定める法律の整備を急いでほしい」と訴えています。

 親子関係の法律に詳しい東洋大学の中村恵教授は、「最近は体外受精の技術が発達し、第三者から提供を受けた卵子で妊娠するなど、出産した人と子供との間に遺伝上のつながりがないという、法律をつくる際には想定していなかった事態が生じている。今は、法律の解釈だけで親子関係が決められているにすぎず、将来的には相続などを巡り、子供が不利益を背負わされる可能性もある」と指摘しています。

 卵子提供による体外受精では、不妊治療クリニックでつくる「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」が、独自のガイドラインを作成。今年1月末時点でJISARTの倫理委員会の承認数は73件で、37人の新生児が生まれました。JISARTによると、匿名の第三者からの卵子提供で生まれた新生児は、この37人の中に含まれているといいます。

 OD―NETによると、ほかにも別の第三者の女性から卵子の提供を受けた2人が妊娠中で、年内に出産予定といいます。

 

 2017年3月24日(金)