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健康創造塾

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■アトピー性皮膚炎に新薬、注射で強いかゆみを抑制 京大などが治験で確認

 

 アトピー性皮膚炎の治療に、新しいタイプの薬が有効であることを臨床試験(治験)で確認したと、京都大学九州大学などの国際研究チームが発表しました。

 国内に数百万人の患者がいるとされるアトピー性皮膚炎は、ステロイドなどの塗り薬で皮膚の炎症を抑える治療が主流ですが、今回の薬は、注射で体内のかゆみを起こすタンパク質に働き掛け、かゆみを軽減させるといいます。今後、治験を重ね、2年後にも新薬として承認申請したいとしています。

 論文は2日、アメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」電子版に掲載されました。

 新しいタイプの薬は、製薬会社「マルホ」(大阪市)が開発中の「ネモリズマブ」という注射薬。アトピー性皮膚炎は、患者のリンパ球の一種から分泌されるタンパク質「インターロイキン31」が過剰に作られ、神経細胞にある受け手のタンパク質と結合することで、かゆみが生じるとされます。ネモリズマブは先に神経細胞にあるタンパク質に結合して、インターロイキン31の結合を防ぎ、かゆみを抑えるといいます。

 治験は、 椛島(かばしま)健治・京大教授(皮膚科学)らの研究チームが、日本、ドイツ、アメリカ、イギリス、ポーランドの5カ国の7病院で実施。18歳以上の患者計264人を4つのグループに分け、それぞれに偽薬(プラセボ)や異なる量のネモリズマブを与えました。

 3カ月後の症状を調べると、偽薬を投与したり、ごくわずかしか投与しなかったりしたグループでは、ほとんど変化がなかった一方で、体重1キロ当たり0・5ミリ・グラムを投与したグループの43人では、患者の6割でかゆみが半減し、皮膚炎も改善しました。かゆみが治まった患者は、熟睡できる時間が2~3週間後には40~50分増え、重い副作用もありませんでした。今後、ほかの薬と併用した際の安全性などを調べます。

 椛島教授は、「かゆみを抑えることで、グッスリと眠れるようになるなど、生活の質の改善につながることが期待できる」と話しています。

 東京医科歯科大学の倉石泰特任教授(薬理学)は、「臨床試験で有効性が確認された意義は大きい。アトピー性皮膚炎のすべてのタイプに有効なのか、今後の臨床試験で解明してほしい」と話しています。

 

 2017年3月3日(金)