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健康創造塾

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■マンモグラフィーで判別しづらい高濃度乳房、一部自治体が通知 乳がん検診で超音波検査の併用も

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 日本女性の乳がん発症は40~50歳代がピークという実態を踏まえ、乳がん検診は40歳以上の女性が2年に1度受けるように、国によって推奨されています。そして、自治体が行う乳がん検診に関する国の指針は、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)のみを推奨する検診法として実施項目に定めています。

 手に触れない微小ながんや、がんとの関連を否定できないカルシウム沈着(石灰化)の発見に威力を発揮し、受診によって死亡率を減らせることが判明している唯一の検診法だからです。

 ただし、マンモグラフィーには弱点もあり、日本女性にはこの方法だけではがんの有無を判別しづらい、乳腺の密度の濃い「高濃度」の乳房が目立ちますが、異常が見えにくい乳房でも「異常なし」とだけ受診者に通知する自治体が多数です。

 乳房は乳腺の密度が濃い順に、高濃度、不均一高濃度、乳腺散在、脂肪性の4つに分類されます。乳腺の密度が濃いとマンモグラフィー画像では全体が白く映り、同じく白く映るがんを見付けにくいため、マンモグラフィー単独では、異常の有無を完全に判定するのが難しくなります。

 専門家によって見解は分かれるものの、マンモグラフィーに不向きとされる高濃度乳房と不均一高濃度乳房は、日本女性の5~8割に上るとの指摘があります。

 この弱点をカバーするのが、超音波検査。超音波では、がんのしこりが黒く乳腺が白く映ります。国の大規模研究で、マンモグラフィーと併用することで早期発見率が1・5倍に高まることがわかりました。

 一部自治体は、40歳代以降の乳がん検診に超音波検査を組み込み、両方を受けられる制度を整えています。30歳代にも乳がん検診を行う自治体が増えてきましたが、若年層は乳腺が発達していてマンモグラフィーに不向きなため、超音波検査で対応しています。

 しかし、超音波検査は、受診による死亡率の減少効果がまだ明らかではなく、国が推奨する検診法になっていません。形や大きさの違う乳房に手動の機器を当て、撮影部位をその場で判断する手法のため、技師の技量に左右されます。

 がんの疑いを多く見付けてしまい、精密検査で異常がないとわかるケースが増え、受診者の心身に負担をかけることがあるとの指摘もあります。超音波を追加で希望する人は医療機関で、自費で受けることになります。

 国の乳がん検診の指針では、結果を「異常なし」か「要精密検査」のいずれかで返すよう定めています。自治体検診では、乳腺のタイプや密度は必ず判定され、詳細な結果票には記録されていますが、本人にはほとんど知らされていません。

 受診者に、「高濃度で見えづらいこと」、「超音波検査を加える選択肢があること」を文書や口頭などで通知している自治体もありますが、実態はよくわかっていませんでした。問題視した乳がん体験者らは、「結果の詳細を知る権利がある」と改善を求め、声を上げました。

 現状を調べるため、マスコミが今月、全国の政令指定都市、県庁所在地など主要131自治体を対象に調査したところ、対策として通知や超音波検査などを実施しているのは、予定も含めると40自治体と明らかになりました。

 和歌山市は医師会と議論し、昨年夏ごろから通知を始めました。神奈川県大和市は市民の要望を受け、来年度から通知し、超音波検査の追加の希望者には、市が費用を負担する方針です。

 多くの自治体の担当者は、「本来は伝えるべき情報」と認める一方で、「県から通知を止められている」「専門医に、通知すべきでないといわれた」などの嘆きも漏らしています。国が方針を示さないために、自治体が板挟みになっている状態です。

 高濃度乳房と不均一高濃度乳房の全員に通知すると、超音波の追加希望者は膨大な数になります。専門医らは、「外来に女性が殺到すると、診るべきがん患者を診られない」と懸念しています。ただ、実際に通知を始めたある自治体の担当者は、「超音波を加えたことによる医療機関の混乱は見られない」と話しています。

 仮に、自治体検診に超音波検査を加えるとなれば、結果的にがんではない多くの人を再検査対象に拾い上げるなどの不利益があります。検査を行える熟練した技師の数もまだ十分でなく、環境整備に多額の費用もかかります。

 高濃度乳房への対応を巡り、日本乳癌(がん)学会などは、昨年設置した作業部会で課題の整理を行っており、近く、提言をまとめる予定です。

 

 2017年2月27日(月)