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■おたふく風邪で難聴、後を絶たず 専門家、ワクチンの定期接種を要望

 

 おたふく風邪にかかった子供が難聴になるケースが後を絶たず、専門医で作る日本耳鼻咽喉科学会が今月、全国的な被害の実態調査を始めましたが、おたふく風邪のワクチンは任意接種のため、対象者の3割から4割ほどしか受けておらず、専門家は「難聴から子供を守るために定期接種化すべきだ」と指摘しています。

 流行性耳下腺(じかせん)炎、いわゆる、おたふく風邪は、子供を中心に流行し、発熱や耳の前から下にかけてのはれを引き起こすムンプスウイルスによる急性感染症で、例年に比べて患者が多い状況が続いています。

 おたふく風邪を発症しても、通常1~2週間で症状は改善しますが、合併症の多い感染症であるため、1000人に1人ほどの割合で難聴になるとする報告もあり、日本耳鼻咽喉科学会が今月、健康被害の実態調査を始めました。

 その一方で、健康被害を防ぐためのワクチンは副反応の「無菌性髄膜炎」が相次いで報告されたため、1993年に定期接種から外されたままで、現在は対象者の3割から4割程度しかワクチン接種を受けていません。

 日本医師会などが2011年までの3年間に全国1万9000の病院を対象に行った調査では、全体の2割弱の病院からの回答で、おたふく風邪の影響で117人が音が聞こえにくくなったと訴えて入院し、このうち61人に難聴の後遺症が残りました。

 ムンプスウイルスが体中を回って、耳の奥にある内耳と呼ばれる部分にダメージを与え、その結果、鼓膜で聞いた音が電気信号に変換されなくなり、脳が音を認識できなくなるとされています。子供が難聴になった場合、補聴器をつけたり、両耳に症状があれば手術で人工内耳を埋め込んだりする対処法があるということです。

 しかし、元の状態に戻るわけではなく、耳で新しい言葉を聞いて覚えることが難しくなり、学校での学習についていけなくなったり、友人とコミュニケーションをしづらくなり、疎外感やストレスを感じたりする問題も残るということです。

 国立感染症研究所によりますと、おたふく風邪は4年から5年の周期で大きな流行を繰り返す傾向にあります。ワクチンが定期接種から任意接種に変わった1993年以降、全国3000の小児科の医療機関から報告された患者数が最も多かったのは、2001年の25万人余りで、2016年は15万9000人ほどとなっています。

 ワクチン問題に詳しい岡部信彦川崎市健康安全研究所所長は、「難聴になる子供が、思ったよりも多いのではないかということがわかり始めてきた。ワクチンで防ぐことができる病気なので、副反応の少ない新しいワクチンを開発し、定期接種にすべきだ」と指摘し、「今のワクチンで報告されている無菌性髄膜炎も、通常、回復する。医師から副反応のリスクと難聴になるリスクについて適切に説明を受け、ワクチン接種することを勧める」と話しています。

 

 2017年2月25日(土)