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■慶応大、iPS細胞で脊髄損傷を治療へ 倫理委に臨床研究を申請

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 脊髄(せきずい)損傷や神経難病など、再生医療の本命と期待されていた病気の治療に向けて、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った臨床研究が動き出します。これまで脳や脊髄の傷付いた神経細胞を再生させる有効な治療法はありませんでしたが、iPS細胞がその可能性を開くと期待されています。

 慶応義塾大学が2018年前半にも、脊髄損傷に対する臨床研究を始めます。岡野栄之教授と中村雅也教授らの研究チームは10日、学内の倫理委員会に臨床研究の実施を申請しました。了承を受けた後、国などの委員会への届け出を行い、最初の移植手術の実施を目指すといいます。

 脊髄損傷は、交通事故やスポーツ事故などで背骨の中の神経が傷付き、体がまひする疾患。国内では毎年約5000人が発症しますが、有効な治療法はありません。

 臨床研究は、脊髄を損傷してから2~4週間が経過した18歳以上の患者7人が対象。iPS細胞から神経細胞の基になる「神経前駆細胞」を作製し、脊髄に移植します。

 iPS細胞は、京都大iPS細胞研究所が拒絶反応の起きにくいタイプの健康な人から作り、備蓄を進めているものを使います。ただし、他人由来の細胞を移植するため、免疫抑制剤を使用するといいます。

 岡野教授らは2010年、脊髄損傷によって手足がまひしたサルに、iPS細胞から作った神経の基になる細胞を移植する研究を実施。運動機能が改善し、後ろ脚で立つことができるようになり、手の握力の改善にも成功しました。また、iPS細胞は腫瘍化が懸念されていますが、約3カ月後でも腫瘍はできませんでした。

 岡野教授は、「(iPS細胞ができる以前の)約20年前から幹細胞を使った基礎研究に取り組み、ようやく臨床の段階まできた。まずは安全性を確認することが第一。脊髄損傷の治療にiPS細胞を使う世界初の臨床研究なので成功させたい」と話しています。

 iPS細胞を使った臨床研究は、理化学研究所などが2014年、患者本人から作ったiPS細胞を使い、目の難病「加齢黄斑変性」の患者への移植手術を行いました。また、今年前半にも、他人由来のiPS細胞を使って同じ加齢黄斑変性の患者への移植手術を行う予定。

 

 2017年2月11日(土)