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■がん免疫治療薬「オプジーボ」、2月から半額に 開発する製薬業界は反発

 

 夢の新薬といわれる半面、肺がん患者1人当たり年間3500万円相当という高額が問題となっていたがん免疫治療薬「オプジーボ」(一般名・ニボルマブ)の価格が、2月1日に50%引き下げられます。保険医療財政を圧迫するとの理由から、緊急的な対応として特例で決められたためです。

 今回の値下げを切っ掛けに、政府内では薬価制度の抜本改革の動きも本格化する一方で、製薬業界は「新薬開発の意欲がそがれる」と反発するなど、影響は広がっています。

 2014年9月の発売当初は、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として承認され、年470人程度の患者で採算がとれるように、100ミリグラム約73万円と価格が高めに設定されました。その後、患者数の多い肺がんの一種である非小細胞肺がんや、腎臓がんの一種である腎細胞がんにも使えるようになって、対象患者が約1万5000人に広がり、販売額が急増しました。

 オプジーボの価格は2016年4月の薬価改定時に維持され、薬価改定は原則2年に1度となっているため、次回の薬価改定は2018年4月の予定でしたが、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会中医協)は2016年11月の総会で、当初の予測より販売額が拡大した場合の「市場拡大再算定」というルールを適用して、引き下げを了承。

 しかも、当初は引き下げ率が25%とみられていましたが、政府の経済財政諮問会議の主導で50%に決定しました。アメリカが100ミリグラム約30万円、イギリスは約15万円という内外価格差も理由となりました。

 日本製薬工業協会(製薬協)は、「現行ルールを大きく逸脱したものだ。今後二度とあってはならない」と不満を示しました。

 新薬の開発には9~16年かかるとされます。開発費が数百億円に上ることも珍しくない上、製品になる確率は3万分の1ともいわれます。製品化の直後に薬価が引き下げられるようなら、投資回収がますます困難になりかねないといいます。

 中医協はさらに今年から、薬価改定を毎年行う方向で議論を進めます。製薬協の畑中好彦会長(アステラス製薬社長)は、毎年改定について「事業の予見性を損なう」と警戒しています。

 オプジーボを販売する小野薬品工業大阪市)は、2017年度3月期のオプジーボの売り上げ予想を当初の1260億円から1050億円に下方修正しました。高額を理由に控えていた医師が使用し始めるケースが増える可能性もありますが、同社は売り上げへの効果は限定的とみており、適応がん種を拡大して数量を増やしていく方針です。

 小野薬品工業は、薬価の抜本改革について「適応拡大にも開発費をかけており、そういった過程も考慮されたルール策定をしてほしい」と求めています。

  

 2017年1月30日(月)