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■人の細胞を持つブタ胎児を作製 アメリカの研究所がiPS細胞で

 

 あらゆる臓器や組織に変化する人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)をブタの受精卵に注入し、人の細胞が混じったブタの胎児を作ることに初めて成功したと、アメリカ・カリフォルニア州にあるソーク研究所などの研究チームが26日、アメリカの科学誌「セル」に発表しました。

 将来的にブタの体内で人の臓器を作り、人に移植する再生医療につなげることを目指す技術ですが、倫理的に問題だとする根強い指摘もあります。

 研究チームは人の皮膚から作ったiPS細胞を、1466個のブタの受精卵に注入して、双方の遺伝子が入った受精卵を作ることに初めて成功し、41匹の母ブタの子宮に戻しました。

 ブタの妊娠期間は人の3分の1ほどで、受精卵の成長のスピードが異なるため、双方の遺伝子が入った受精卵を作るのは難しいと考えられていましたが、培養の方法が異なる複数のiPS細胞を注入することで、初めて成功したということです。

 その後、186個の受精卵が母ブタの体内で最長4週間育って胎児となり、うち67匹が人の肝臓や心臓などのもとになる細胞を持っていることを確認したということです。一方、人の脳のもとになる細胞を持っていることは確認できなかったということです。

 ただ、人の細胞が含まれる割合は、ブタの細胞10万個に対して1個以下と少なく、受精卵に注入するiPS細胞は、やや分化の進んだタイプのものが成功率が高かったといいます。

 こうした研究は、人と動物が混じるため、倫理的な問題があるとして、日本国内では人のiPS細胞を動物の受精卵に注入することは認められていますが、それを動物の子宮に戻すことは禁止されています。

 カリフォルニア州では、受精卵を子宮に戻して4週間まで培養することが認められているということで、研究チームでは「倫理のガイドラインに従って研究を重ね、思うように人の臓器を作れるようにしたい」としています。

 動物の体内で人の臓器を作り出す研究を巡っては、4年前の2013年に国の専門委員会が条件付きで認める見解をまとめており、現在、文部科学省の委員会が動物の受精卵に人の細胞を加えた「動物性集合胚」を動物の子宮に戻すことを認めるかどうか、研究指針の改定を協議しています。

 国内では、すでに東京大学の研究チームが、人のiPS細胞が入ったマウスの受精卵を作ることに成功しており、より規制が緩やかなアメリカで、ブタやヒツジの体内で人の膵臓(すいぞう)を作る研究を進めています。

 東京大学の正木英樹助教は、「人と臓器の大きさがほぼ同じブタで、人の細胞が入ったブタの胎児ができたということは、将来、動物の体内で作った臓器を移植する研究に向けた大きな一歩だ」と話しています。

 

 2017年1月27日(金)