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健康創造塾

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■移植臓器を異種間で作り、糖尿病治療に成功 東京大学がiPS細胞を利用

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 東京大学の中内啓光教授(アメリカ・スタンフォード大学教授を兼務)と山口智之特任准教授(幹細胞生物学)らは、ラットの体内でマウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)から膵臓(すいぞう)を作り、この膵臓の細胞を移植して糖尿病のマウスを治療することに成功しました。

 異種の動物で臓器を作り、病気の治療効果を確かめたのは世界で初めてといいます。人の臓器をブタなどの体内で作って移植する再生医療の実現の足掛かりになります。

 研究成果は26日、イギリスの科学誌ネイチャー(電子版)に掲載されました。実験には膵臓を作れないように遺伝子操作したラットを利用し、ラットの受精卵を分割が進んだ胚盤胞(はいばんほう)という状態まで成長させ、マウスのiPS細胞やES細胞を注入。この胚をラットの子宮に着床させると、誕生したラットにはマウスの細胞から育った膵臓ができました。

 この膵臓を取り出し、インスリンなどを分泌する膵島という組織を、糖尿病のモデルマウスに移植しました。移植後1年間、血糖値が正常な値を維持し、膵島の働きにより、糖尿病の症状が改善したと確認できました。膵島はラットの血管などの細胞をわずかに含みますが、免疫抑制剤をほとんど使わなくても強い拒絶反応は見られなかったといいます。

 研究チームは2010年にも、同様の手法で今回とは逆となるマウスの体内でラットの膵臓を作りました。ただ、できた膵臓のサイズが小さく、十分な量の膵島を確保できませんでした。今回、大きさがマウスの10倍程度あるラットの体内でできたマウスの膵臓は、ラット並みの大きさの膵臓に育ちました。

 マウスとラットは、種としては人とチンパンジー、ウシとヒツジ程度に遠い関係にあるといいます。山口特任准教授は「異種の動物で作った臓器を治療に使う有効性を示せた」と話しています。

 今後は人での応用を目指し、ブタの体内でサルの臓器を作らせるなどの研究を進める方針。ただ、動物によって細胞の性質は異なり、山口特任准教授は「技術的に可能かどうかは試してみないとわからない」と話しています。

 順調に進めば人への応用も視野に入るものの、日本では現在、倫理的な問題があり、動物が持っているウイルスに感染する恐れも否定できないとして、国の指針で動物の体内で人の臓器を作る実験は禁止されているため、中内教授らはアメリカで人の臓器を作る研究を実施することも検討しています。

 

 2017年1月26日(木)