健康創造塾

各種の健康情報を発信

■梅毒感染者、42年ぶり4000人超 厚労省が研究班を設置し原因解明へ

 

 梅毒感染者の増加が止まりません。特に若い女性で目立ち、異性間の性交渉によって広がっていることがわかってきました。

 厚生労働省は人気アニメ「美少女戦士セーラームーン」のキャラクターを使ったキャンペーンを展開するなど啓発に力を入れていますが、具体的にどういった人たちがハイリスクで、誰に注意を促したらいいのかは実はよくわかっていません。

 同省は専門家の研究班を設置して実態把握を急ぐとともに、「不特定多数との性交渉など感染の可能性がある人は早期に検査を」と呼び掛けています。

 昨年1年間の全国の医療機関からの梅毒患者届け出数は4518人(速報値)。4000人を超えたのは1974年以来、42年ぶりのことで、2015年の2697人より2000人近く増え、2010年の621人の約7倍に達しました。

 感染者は戦後間もない1940年代後半に20万人を超えていましたが、1967年以降、治療薬の普及などで減少。2012年までの20年間は1000人未満と落ち着いていましたが、2013年以降、急増しています。

 昨年の患者を都道府県別でみると、東京都1661人、大阪府583人、神奈川県284人、愛知県255人、埼玉県190人、兵庫県181人、千葉県139人、北海道117人、福岡県107人などと都市部で多くなっています。

 全体の約7割を占める男性は各年齢層から偏り少なく報告されている一方、女性は20歳代が女性全体の5割超を占め、感染増加が目立ちます。

 梅毒は、梅毒トレポネーマという病原菌により、ゆっくり進行する感染症です。感染して3週間ほどで梅毒トレポネーマが体に入った部分に小豆、または指先ほどの大きさの硬いしこりが生じますが、自然と消えるので気付かないこともあります。感染して3カ月をすぎたころより、皮膚や粘膜に発疹(はっしん)症状が出ます。

 治療はペニシリン系の抗菌薬を4週間から8週間、血液による抗体検査で体内の菌が消滅したことを確認できるまで服用することが重要。発疹などの症状を放置して重症化すると、脳や心臓に重い合併症を起こす危険があります。

 また、梅毒に感染した妊婦から胎盤を通じて胎児が感染すると先天性梅毒を生じ、流産や死産の原因になるだけでなく、学童期に難聴、リンパ節や肝臓のはれといった重い症状も起こります。

 男性の同性間の性的接触による感染だけでなく、近年は異性間の性交渉による感染も広がり、患者増加に拍車がかかっているとみられますが、原因ははっきりしません。

 若年層の性行動の変化、風俗業の業態の変化、流行国からの観光客の増加などが原因として指摘されるものの、どれも十分な根拠はありません。感染症法に基づく届け出では性別と年齢のほか、性的接触の内容を「性交・経口」「同性間・異性間・不明」などに区別して尋ねますが、国籍や職業などは問わないからです。

 東京都新宿区では2015年の届け出が東京都内の4割、全国の2割を占めました。受診医療機関による届け出であるため、区外居住者が受診したケースも多くみられます。

 2016年に実施したアンケートでは、多くの医師が「患者は増えている」と回答しています。

 新宿区保健所では、病気の特徴や注意点をまとめたパンフレットを作成して啓発に力を入れています。また、2017年度からは、発生状況などを明らかにするために自治体が必要な調査ができるとする感染症法の条文に基づき、患者の匿名性を保ったまま「性風俗への従事歴」や「国籍」などを医師に追加で患者に質問してもらい、対策に生かす方針。

 厚労省が原因解明のために設けた研究班で班長を務める国立感染症研究所の大西真細菌第1部長によると、届け出の多い東京都の医療機関に協力を求め、検査を受けた人を陽性、陰性の2グループに分けて比較する予定です。

 患者のより詳しい属性を明らかにした上で、特に異性間の性交渉でどのように感染が広がったかを2017年度末までに明らかにします。菌が採取できれば、地域や感染経路を解明する特徴の有無も確かめます。

 

 2017年1月25日(水)