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健康創造塾

各種の健康情報を発信

■脳卒中のまひに新治療、リハビリ機器で神経回路を形成 3年後発売へ

 

 脳卒中患者の意思を脳波の変化から読み取って、まひした手の指を機械で動かし、新たな神経回路の形成を図るリハビリ機器の製品化に向け、慶応大学とパナソニックが医師主導の臨床試験(治験)を3月にも始めます。3年後の発売を目指します。

 重い脳卒中では、脳からの神経回路が損傷し、体のまひが起きます。国内の脳卒中患者は約120万人で、うち約2割は発症から90日以上経過しても手の指を動かせない重度のまひを持ち、これまで有効な治療法がありませんでした。そのため、従来のリハビリテーションでは、 まひした手の指の回復そのものを指向した治療よりも、利き手を変える、片手の動作を覚えるなどの代償的治療が中心になっていました。

 慶応大学の里宇明元(りうめいげん)教授(リハビリテーション医学)と牛場潤一准教授(理工学)らの研究チームは、手の指を伸ばそうと考えた時の脳波の変化を解析。頭に着けた脳波ホルダーがこの変化を検出すると、電動装具(ロボット)が指を伸ばし、同時に腕の手指伸筋へ刺激を加える電気刺激装置を開発しました。

 脳波と連動した動作や電気刺激を繰り返すことで、新たな運動指令の神経回路の形成が促されます。

 これまでの研究で、手の指が全く動かせなかった患者42人に、このリハビリ機器による1日40分の訓練を通常のリハビリと合わせて10日間行ってもらうと、29人が指を動かせるようになりました。

 2010年に脳出血で左半身がまひし、このリハビリで手の指を動かせるようになった第一生命経済研究所主任研究員の後藤博さん(54歳)は、「ほかのリハビリを重ねても全く動かず絶望的だったが、希望が生まれた」と話しています。

 治験は、慶応大学病院や東京都リハビリテーション病院など4病院で、約20人の患者にリハビリ機器を使ってもらい、効果と安全性を検証します。そして、パナソニックが医師主導の治験終了後の2019年に、製品化したリハビリ機器の発売を目指します。

 大阪大学の吉峰俊樹特任教授(脳神経外科)は、「脳卒中のリハビリは、筋肉だけではなく、脳の訓練が重要。画期的な手法で、期待が持てる」と話しています。

 

 2017年1月24日(火)