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健康創造塾

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■京都大、iPS細胞1種類の研究機関への提供停止 試薬取り違えの恐れ

 

 体のさまざまな組織になるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を外部の研究機関に提供している京都大学iPS細胞研究所は、細胞の作製過程で誤った試薬を使った可能性があるとして、一部のiPS細胞について研究機関への提供を停止すると発表しました。

 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長らが23 日、記者会見をして明らかにしました。

 研究所では、拒絶反応が起きにくい特殊なiPS細胞を前もって作製して、再生医療用に保管し、外部の研究機関に提供する「iPS細胞ストック」という取り組みを進めています。

 この中で、新生児のさい帯血から作製したiPS細胞1種類を昨年の夏から提供していましたが、昨年11月下旬になってこのiPS細胞を作る過程で本来は使用しない試薬が使われていた可能性があることがわかったということで、このiPS細胞の提供を停止しました。

 iPS細胞は、血液の細胞に遺伝子や試薬を入れて作製します。試薬は3本入りのセットで入荷し、このうち透明なふたの2本には、番号や使用期限を書き込むためのラベルを貼って使用。残る緑色のふたの1本は、反応が進んだかどうかを確認する蛍光タンパク質の遺伝子が入った「GFPベクター」と呼ばれる試薬で、作製時には使わないこととなっています。

 ところが昨年11月下旬、緑色のふたにラベルを貼ったものが見付かり、誤った試薬を使った可能性が浮上。作製したiPS細胞を調べたり、研究員に聞き取りを行ったりしましたが、「誤使用がなかった明確な証拠は得られず、万一、人に使用した際の安全性にも確証が持てない」として、提供の停止に踏み切ることにしました。

 今後、ラベルの管理の厳格化、記録の徹底などの再発防止策をまとめ、今夏をめどに作製し直すといいます。

 これまでに、さい帯血から作製したiPS細胞は国内の13研究機関の23プロジェクトに提供されていましたが、トラブルなどは報告されておらず、人に使われたことはないということです。

 提供を停止するのは人への臨床応用を前提にしたケースで、研究用としては引き続きそのまま提供するといいます。ただ、一部のプロジェクトでは、人への臨床応用にこのiPS細胞を使う計画を立てていたということで、最大で1年遅れるなど計画に影響が出ることが懸念されるということです。

 山中所長は、「多くの研究費を使って作った細胞が提供できなくなり深くおわびしたい。今後、再発防止を進めていきたい」と話しています。

 

 2017年1月24日(火)