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■乾燥しがちな冬は熱中症に注意を 水分補給と運動に効果あり

 

 大阪市で昨年12月下旬、高齢夫婦が入浴中に溺死(できし)し、その原因として熱中症が指摘されています。熱中症は夏特有の症状と思われがちですが、水分補給が不十分になる冬もリスクは高いといいます。

 専門家は、「夏と同じくらいの意識で警戒してほしい」と呼び掛けています。

 大阪市の夫婦はいずれも80歳代で、昨年12月29日、大阪市西淀川区の集合住宅で、湯船につかってグッタリしているのを同居する58歳の次男が見付けましたが、すでに死亡していました。

 大阪府警西淀川署によると、司法解剖の結果、死因は溺死。入浴中に熱中症を起こして意識を失い、溺(おぼ)れたとみられます。捜査関係者によると、1人が気を失った後、もう1人も狭い浴槽で身動きがとれなくなったと考えられるといいます。

 次男によると、夫婦とも足腰が弱く、約15年前から助け合って一緒に入浴していました。熱い風呂が好みで、日ごろから1時間ほど入浴していたといい、「まさか冬に熱中症で亡くなるとは思わなかった」と驚いていました。

 入浴中の死亡事故は、後を絶ちません。厚生労働省の人口動態統計によると、2015年に家庭の浴槽で溺死したのは4804人。10年間で約4割増えており、約9割を65歳以上の高齢者が占めます。

 大阪市消防局が2015年に浴槽で溺れた人数を月別で集計したところ、最多は1月の17人で、3月13人、2月11人と続いて冬に集中し、8月はゼロでした。

 冬の事故でこれまで原因とよくいわれてきたのは「ヒートショック」。冷えた体のまま熱い湯船に入ることで血圧が激しく変動する現象をいい、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中につながる危険な状態。脱衣所や浴室を暖めておくことで予防します。

 今回の夫婦は、熱中症とみられています。

 済生会横浜市東部病院・周術期支援センター長の谷口英喜医師によると、空気が乾きやすい冬は、暖房の使用で室内の乾燥も進む上、汗をかいても気付きにくく、皮膚から多くの水分や塩分を失います。水分補給も怠りがちで、脱水症に近付きます。

 この状態で熱い湯に長時間入ると、脳内の血流が悪くなって血液がドロドロになり、失神を起こしたり、体温の上昇で意識障害を招いたりする熱中症となって、湯船で溺れる危険性が高まるといいます。

 特に高齢者は、暑さを感じる神経の働きが弱く、のどの渇きも自覚しにくいため水分補給が不十分で、脱水症や熱中症に陥りやすくなります。

 谷口医師は、「冬は脱水症が忍び寄る季節。入浴だけでなく、エアコンや床暖房、ストーブも熱中症の引き金になる」と話しています。

 谷口医師らの研究では、高齢者の約2割は常に脱水症の前段階「かくれ脱水」の状態にあります。体調や気候のわずかな変化で脱水症や熱中症になりやすく、谷口医師らはホームページ「かくれ脱水JOURNAL」で注意を促しています。

 予防で必須なのは、水分の摂取。起床や就寝、入浴の前後などに補給することを習慣にすると効果的だといいます。冬は水分が少ない根菜類を食べることが多く、ホウレンソウや小松菜などの緑黄色野菜や季節の果物を意識して食べるのも効果的。さらに、加齢により水分を蓄える筋肉量が減るため、適度な運動で保つよう心掛けることも重要といいます。

 脱水が疑われる場合は、ナトリウムやカリウムなどの電解質と糖分を含む経口補水液が勧められます。「経口補水液は点滴と同程度の改善効果が期待できる」と谷口医師。うまく飲み込めない高齢者向けに、飲み込みやすいゼリータイプの商品もあります。

 

 2017年1月23日(月)