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健康創造塾

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■脳血流の変化に連動して、手指動作をリハビリ 九州大学が小型ロボットを開発

 

 九州大学医学部、工学部などの共同研究チームは、脳の血流の変化を測定する検査装置と手指の繊細な動作を支援するリハビリテーション機器を連動させ、脳卒中患者の手指のまひを改善する小型リハビリテーションロボットの開発を進めています。

 1月中に患者を対象にした本格的な臨床試験を開始し、いっそうの精度の向上や装置の小型・軽量化を図った上で、2019年にも製品化したい考えです。

 研究チームは、体を動かす命令を出した際に脳に生じる血流の変化が、脳卒中まひで体を動かせない患者でも起きることに着目。頭に装着するだけで脳内のヘモグロビン量を測定できる簡便な検査装置を用い、独自に開発した手指動作リハビリテーション機器をコンピューターで連動して動かすシステムを考案しました。

 脚のリハビリテーションに比べて手は関節の動きが複雑で、より繊細な動きが求められることから再現が難しく、脳の動きと連動した手のリハビリテーションロボットの開発は世界的に遅れています。

 研究チームが開発した手指動作リハビリテーション機器は、1本の指に対して長さの異なる複数のバネを使い、バネが前後にスライドして関節ごとに滑らかに曲がります。ネジを使用しておらず、約170グラムと軽いのが特長。「Smooth(滑らかな)」と「Move(動く)」、「Improve(改善する)」の英語を組み合わせ、「SMOVE(スムーブ)」と命名しました。

 試作器を用いて40~70歳代の脳卒中患者に手を握るイメージをしてもらった実験では、24人中18人で脳血流の変化をとらえ、約8割の確率で手を握るイメージに合わせてスムーブが作動しました。1月中に始める臨床試験では、患者約20人を対象に約2カ月間、週1、2回使用してもらい、実際にどの程度リハビリテーション効果があるのかを調べます。

 その後も改良を進めながら臨床試験を重ね、スムーブを使うグループと使わないグループでリハビリ効果の違いを比べるなどして実用化を目指すといいます。患者が自宅で手軽に行えるよう、スイスのチューリヒ工科大学と提携して装置の小型・軽量化、低消費電力化の研究も進めています。

 厚生労働省の2014年の調査によると、脳卒中患者は国内だけで約120万人に上ります。死者は年11万人に上り、死因第4位の国民病。

 九州大学脳神経外科の迎(むかえ)伸孝助教は、「脳からの指令と連動してまひした手指を動かすことで、重度の患者でも効果的なリハビリが期待できる。海外での普及も視野に開発を進めたい」と話しています。

 

 2017年1月8日(日)