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健康創造塾

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■ワクチン未接種の女性にも一定割合で症状 子宮頸がんワクチン全国調査

 

 子宮頸(けい)がんワクチンを接種した後に、原因不明の体の痛みなどの症状を訴える女性が相次いだ問題で、厚生労働省の研究班は、ワクチンを接種していない女性にも一定の割合で同様の症状がみられたとする全国調査の結果を公表しました。

 厚生労働省は「この結果だけでは接種と症状との因果関係は判断できない」として、現在中止している接種の積極的な呼び掛けを再開するかどうかは引き続き検討するとしています。

 子宮頸がんワクチンは、国内で7年前に接種が始まり、2013年4月からは小学6年生から高校1年生の女子を対象とする定期接種に追加されました。以来、ワクチンを接種した後に体の痛みなどを訴える女性が相次ぎ、厚労省は、定期接種を始めたわずか2カ月後、接種の積極的な呼び掛けを中止する異例の対応を取りました。

 接種と症状との因果関係を調査してきた厚労省の専門家会議は、2014年1月、「ワクチンの成分によって神経や免疫などに異常が起きるとは考えにくく、接種の際の不安や痛みなどが切っ掛けで症状が引き起こされた可能性がある」とする見解をまとめました。

 しかし、その後も詳しい原因は特定できず、2015年11月、厚生労働省は接種していない人にも症状が出ているかを調べるため、大規模な調査を行う方針を打ち出していました。

 この実態を把握するために行った全国調査の結果が26日、厚労省の研究班により専門家会議の中で報告されました。

 全国調査では、2015年末までの半年間に全国の病院を受診した12歳から18歳の男女2500人余りの症状について、「体の痛みや運動障害、それに記憶力の低下などの症状が3カ月以上続いて、仕事や学校生活に支障が出ていないか」を分析しました。その結果、子宮頸がんワクチンを接種した女性では、推計で10万人当たり27・8人に症状が確認された一方で、接種していない女性にも、推計で10万人当たり20・4人に症状がみられることがわかったということです。

 この結果について、厚生労働省は「同じ症状が出た場合でも、社会問題となったことで、ワクチンを接種した人のほうが医療機関を受診することが多いとみられる上、医師もより慎重に診断するため報告が上がりやすくなることも考えられる」とし、「今回の調査結果だけで接種した人と、していない人の発症率を比べることはできず、接種と症状との因果関係は判断できない」としています。

 このため厚生労働省は、引き続き専門家会議で因果関係の検証を進め、接種の積極的な呼び掛けを再開するかどうかを判断したいとしています。

 今回の全国調査の結果について、日本産科婦人科学会の藤井知行理事長は、「これまで学会が訴えてきた通り、我が国においてもワクチンと関係なく思春期の女性にとう痛や運動障害などワクチン接種後に報告されている多様な症状を呈する方が相当数いらっしゃることが確認されました。こうした症状のある女性の診療に今後も真摯(しんし)に取り組んでいくとともに、将来、我が国だけで多くの女性が子宮頸がんで命を落とすという不利益がこれ以上拡大しないよう、国が一刻も早くワクチンの接種勧奨を再開することを強く求めます」とするコメントを発表しました。

 また、子宮頸がんワクチンの問題で国と製薬会社2社に対して治療費などを求める訴えを起こしている弁護団が26日、記者会見を開きました。この中で、弁護団の水口真寿美弁護士は、「ワクチンの接種後に起こる症状の特徴は、1人の患者に複数の症状が出ることだと考えているが、今回の調査は症状が1つだけの人も対象になっているなど、実態を正しく捉えられていないと感じる。今回の調査結果だけでワクチンを接種していない人にも接種後の人と同様の症状が出ているとはいい切れず、この結果をもとに接種の積極的な呼び掛けを再開するかどうか議論するのは科学的ではない」などと指摘しました。

 

 2016年12月27日(火)