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■大気汚染が妊婦の胎盤早期剥離に関連 九州大学などが解明

 

 大気汚染物質の一つ、二酸化窒素(NO2)濃度が大幅に上昇すると、出産前に妊婦の胎盤が子宮からはがれてしまう「常位胎盤早期剥離(はくり)」のリスクが高まるとの疫学調査結果を、九州大学と国立環境研究所(茨城県つくば市)の研究チームが9日、発表しました。国際環境疫学会誌の電子板に掲載されました。

 早期剥離は、妊婦の0・6%程度に起こるとされます。母子ともに深刻な影響が懸念され、命の危険もあります。

 研究チームは、日本産科婦人科学会が匿名で収集している約5万人の妊婦や胎児のデータを利用。2005~2010年に九州・沖縄地方の28病院で出産した妊婦のうち、早期剥離と診断された821人を対象に、病院に最も近い一般環境大気測定局での大気汚染物質濃度との関連を調べました。

 大気汚染物質と心筋梗塞(こうそく)との関連を調べた海外の研究などを踏まえ、汚染物質によって胎盤に影響が出るまでの時間を約1日、発症から出産まで約1日と仮定。出産2日前の日の平均濃度との関係を分析したところ、早期剥離のリスクは、NO2が10ppb(ppbは10億分の1)上昇するごとに1・4倍になるとの結果になりました。

 10ppbの上昇は、住宅地などに設置された全国の一般環境大気測定局の年平均値がほぼ2倍に上昇する状況に相当します。ほかの大気汚染物質である浮遊粒子状物質(SPM)、光化学オキシダント(Ox)、二酸化硫黄(SO2)では、早期剥離と明確な関連はみられませんでした。

 実際に妊婦がいた場所と一般環境大気測定局の濃度に差があるなど、分析の精度には限界もあるといいます。

 国立環境研究所の道川武紘主任研究員は、「微小粒子状物質PM2・5との関係なども含めて分析を進め、早期剥離の発症メカニズムや予防策を明らかにしたい」としています。

 

 2016年12月10日(土)