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■マウスのiPS細胞から内耳細胞を作製 遺伝性難聴の治療薬に期待

 

 音の振動を神経の電気信号に変換する内耳の仕組みに異常がある遺伝性難聴で、原因となる細胞をマウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製したと、順天堂大学の神谷和作准教授らの研究チームが発表しました。

 論文は11日付の国際幹細胞学会誌電子版に掲載されました。

 治療薬になる可能性がある化合物を試し、候補を絞り込むのに使えます。将来は人のiPS細胞から正常な細胞を作り、内耳に送り込んで定着させる再生医療を実現できる可能性があるといいます。

 内耳の蝸牛(かぎゅう)管は高濃度のカリウムイオンを含むリンパ液で満たされており、音の振動を受けた有毛細胞がカリウムイオンを取り込んで神経の電気信号に変換します。カリウムイオンは周囲の細胞を経由して、リンパ液に戻されます。

 一方、遺伝性難聴患者の約半分では、細胞同士でカリウムイオンを輸送する結合部の構造が崩れ、リンパ液に戻せません。

 原因はタンパク質「コネキシン26」の異常で、神谷准教授らは「GJB2」という遺伝子が働かないようにして難聴にしたマウスのiPS細胞から異常な内耳細胞を作り、タンパク質が次第に壊れて結合部が崩壊していく様子を再現しました。通常のマウスのiPS細胞からは、結合部が正常な内耳細胞を作製しました。

 神谷准教授は、「難聴を再現した細胞を使って、細胞間のつながりを修復する薬を開発できれば、根本的な治療につながる」と話しています。

 同じタイプの遺伝性難聴の患者は日本でも3万人以上いるとされ、根本的な治療法はなく、補聴器や人工内耳で聴力を補うだけです。

 

 2016年11月12日(土)