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■マダニ媒介の感染症の治療薬 愛媛大など、初の臨床研究へ

 

 2013年に国内で患者が初確認され、死に至る場合も多い重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、愛媛大などのグループが抗インフルエンザ薬の「アビガン」(一般名・ファビピラビル)を使った臨床研究を始めます。

 マウス実験で効果が確認されたため、臨床研究で人での効果と副作用を調べ、治療薬としての実用化を目指します。

 国立感染症研究所によると、SFTSはウイルスを持った野外のマダニにかまれて感染します。発症すると高熱が続き、嘔吐(おうと)や下痢、意識障害などの症状が出て、血小板や白血球が減ります。

 治療薬やワクチンはなく、致死率は10~30パーセント。国内では今年6月1日までに西日本を中心に185人で確認され、うち高齢者を中心に47人が死亡しました。

 アビガンは、富士フイルム傘下の富山化学工業(東京都)が開発し、2014年に国内で製造販売が承認されました。ウイルスが遺伝子を複製し増殖するのを妨げるタイプの薬で、海外ではエボラ出血熱の治療でも期待されました。

 国立感染症研究所などによるマウス実験では、投与開始が感染3日以内では全例が生存。4日目から死亡例が出て、5日目の生存率は50パーセントでした。投与が早いほど体重減少も少なく、「人でも有効性が期待できる」とウイルス第一部の西條政幸部長は話しています。

 臨床研究には、愛媛大や長崎大、国立感染症研究所国立国際医療研究センターなど約30の医療機関が参加。患者の同意を得て、診断が確定したら参加医療機関で10~14日間アビガンを飲んでもらい、血液中のウイルス量の変化や消化器症状などの副作用を調べます。今年は25人を目標にして、今月中にスタートします。

 愛媛大の安川正貴教授(血液・感染症学)は、「SFTSの根本的な治療法になり得る」と期待を寄せています。

 国立感染症研究所の西條部長は、「どのくらいの時期までに薬を投与すれば効果があるのかなど、細かな検証も含めて薬の有効性を確認していきたい。できるだけ早く実用化できるように研究を進め、少しでも亡くなる患者の数を減らしたい」と話しています。

 

 2016年6月26日(日)