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■人の受精卵改変を容認、国の調査会 ゲノム編集、基礎研究のみ

 

 内閣府有識者でつくる生命倫理専門調査会は22日、「ゲノム編集」という最新の技術を使って、人の受精卵の遺伝子を改変する基礎研究を容認するとの報告書をまとめました。

 遺伝子を改変した受精卵を子宮に戻す臨床利用は、安全性や倫理面で課題が多いとして認めませんでした。ゲノム編集を応用した人の受精卵研究について、国が方針を示したのは今回が初めて。

 生命倫理専門調査会は、生命科学や法律、倫理などの研究者ら計15人で構成。ゲノム編集を巡っては、2015年4月に中国のチームがこの技術を使い、人の受精卵に含まれる血液疾患の原因遺伝子を修復したと発表したため、日本でも昨年10月から検討を重ねてきました。

 報告書では、人の受精卵にゲノム編集を使う基礎研究について、「先天性の難病治療や不妊治療の研究に役立つ可能性がある」と容認する一方、「動物の受精卵を使った研究もあり、人の受精卵でなければできないのかを考える必要がある」と慎重な対応を求めました。

 「目の色の変更や筋肉の増強といった治療以外の目的の場合は倫理的課題が残る」とも指摘しました。また、受精卵の研究への使用期間は、背骨や中枢神経に成長する部分が現れる時期までに限定するとともに、終了後は受精卵を廃棄するよう求めました。

 ゲノム編集で遺伝子を改変した人の受精卵を子宮に戻す臨床利用については、遺伝子配列の狙った場所以外に目的の遺伝子が入り込んだり、改変した遺伝子がほかの遺伝子にどう影響するかわからなかったりするなど課題が多く、報告書では容認しませんでした。

 生命倫理専門調査会の会長の原山優子東北大学名誉教授は、「基礎研究は人受精卵の尊厳を理解した上で判断することが必要だ。今回の報告書は研究者を含め、広く国民の間で、この技術の意味を考えていく方向性をまとめたので、これに準じた形で研究を進めていただきたい」と話しています。

 ゲノム編集を使った人の受精卵の研究を巡っては、中国の研究チームのほか、今年2月にイギリスの研究所が申請した受精卵の発育の研究が、子宮に移植しないことなどを条件にイギリス政府に承認されました。生まれてくる子に人為的に影響を及ぼしたり、次世代にまで影響が続いたりするなど安全性への懸念が多く、米英中の専門家らで作る国際会議が昨年12月、「研究目的でゲノム編集を人の受精卵に使うことを容認するが、子宮に移植する臨床利用は認めない」とする声明を発表しました。

 ゲノム編集は、生物の姿や形、特性などを決めるゲノム(全遺伝情報)を人為的に改変する技術。ゲノムはDNA(デオキシリボ核酸)で構成され、生命活動に必要なタンパク質を作る情報はDNA内の遺伝子が持っています。特殊な物質を使ってDNAの一部を切り取ったり、その部分に新たなDNAを組み込んだりすることで、遺伝子の働きを改変させます。従来の技術より効率よく遺伝子を組み換えられ、低コストで時間も短縮できます。

 

 2016年4月23日(土)