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■米より先に魚や肉を食べる順番が糖尿病を予防 関西電力医学研究所

 

 ご飯よりも先に魚や肉を食べる順番が胃の運動を緩やかにし、食後の血糖上昇を改善する仕組みを、関西電力医学研究所(神戸市)が15日までに解明しました。

 関西電力医学研究所の矢部大介副所長らは、この順序で食べるとGLP−1やGIPなどのインクレチンの分泌が促進されることも突き止めており、この食べる順番の科学的根拠を示したことで、糖尿病の予防や治療に役立つ可能性があるとしています。

 すでにヨーロッパの学会誌の電子版に論文が掲載され、専門医や管理栄養士などから反響があったといいます。

 糖尿病の進展や合併症の予防には、食後高血糖の是正が肝要とされます。この食後の血糖値を抑える手法として、近年注目を集めているのが、野菜類→蛋白質中心のおかず→ご飯などの糖質の順番で食べ進める「食べる順番を意識した食事療法」です。

 矢部副所長らは、特に炭水化物の前に蛋白質や脂質を摂取すると、インスリン分泌の促進や血糖を上昇させるグルカゴンの分泌抑制に働く、消化管ホルモンであるGLP−1やGIPなどのインクレチンの分泌が高進する点に着目。ご飯の前に魚料理や肉料理を食べる順番が、食後の血糖値やインクレチン分泌にどういった影響を及ぼすのかを調べました。

 対象は、30~75歳で、2型糖尿病患者12人と健康な人10人。対象者には、(1)魚料理(サバの水煮)の前にご飯を食べる、(2)ご飯の前に魚料理を食べる、(3)ご飯の前に肉料理(牛肉の網焼き)を食べる、と異なる順番で3日間、朝食を食べてもらい、食前および食後4時間の血糖、インスリン、Cーペプチド、グルカゴン、インクレチンの値を測定し、胃排泄能などを検討しました。

 この結果、2型糖尿病患者、健康な人ともに、ご飯の前に魚料理や肉料理を摂取すると、ご飯を先に食べた場合に比べて食後4時間の血糖値の上昇が魚料理では約3割、肉料理では約4割抑えられ、血糖変動が平坦化することがわかりました。

 また、魚料理や肉料理をご飯より先に摂取するとGLP−1の分泌が高進され、胃の働きが緩やかになり、胃で分解されたご飯が小腸に移動して吸収されるまでの胃排泄時間が2倍以上延長することも明らかにされました。

 ただし、肉料理をご飯より先に摂取すると、魚料理を先に摂取した場合に比べてGIPの分泌高進が著しく上昇することも確認されました。

 この点について、矢部副所長は、「EPAやDHAなど多価不飽和脂肪酸の含有量が多い魚とは異なり、肉は飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸が多く含まれることに起因しており、肉料理の長期的な摂取による肥満リスクの上昇が懸念される」と説明しています。

 矢部副所長によると、この「食べる順番」の工夫は、会席料理で先付け(前菜)に続いて刺身、焼魚、煮魚などの魚料理、最後にご飯や果物を出す方法にみられる古来からのものであり、現代の食生活でもこの考えを取り入れ、最初に野菜、次に魚料理や肉料理、最後にご飯や果物を摂取することが、エネルギー摂取量や栄養バランスに加えて重要だとしています。

 今後、この食べる順番の効果をさらに詳細に検証し、長期的な効果を明らかにする予定だといいます。

 

 2016年4月16日(土)