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■農業は健康のもと、高齢者の医療費で裏付け 早大研究

 

 早稲田大学持続型食・農・バイオ研究所の堀口健治名誉教授らのグループは、埼玉県本庄市の75歳以上の個人データ5年分を分析し、農業をしている高齢者はそれ以外の人に比べ、2割ほど医療費の支出額が少ないことを突き止めました。

 農業者が高齢でも元気なことを、実際の医療費の比較で確かめました。健康づくりに役立つという農業の機能に、注目が集まりそうです。

 2014年度に本庄市内に住む、75歳以上で10アール以上の農地を耕作する農業者897人が支払った医療費は、平均で73万円。農業者を除いた75歳以上の市民8258人の平均額91万円を2割下回りました。過去5年間でいずれも、農業者の支払った医療費のほうが2〜3割少なく、「農業に従事する高齢者のほうが健康であることが確かめられた」と堀口名誉教授は説明しています。

 「高齢化が日本農業の問題だ」と指摘されることは多いものの、今回の成果は、高齢者が農業を続けることで、医療費削減に結び付く可能性があることを強く示しました。

 堀口名誉教授は、「体を動かすことで、比較的健康を保ちやすいことがうかがえる。農業の働き方と健康との関係を医学的に深くみていくことが大切」と話し、農業の持つ新たな役割を研究、評価するべきだと強調しました。

 農業者の多い府県ほど医療費が少ない傾向にあるなど、統計データから農業者の長寿を推計した研究は過去にもあります。農林水産政策研究所の川崎賢太郎主任研究官は、職業別人口統計から60歳以上の死因を分析し、農業者の割合が高いほど心筋梗塞(こうそく)などによる死亡率が下がることを、明らかにしています。

 しかし、いずれも統計分析にとどまり、状況証拠の域を出ません。個人が支払った医療費はプライバシー保護との関連で研究目的でも利用するのは難しいため、実際に医療費として支払われた金額を基に比較した研究は今回が初めてです。

 調査は、本庄市の農業委員の選挙人名簿から75歳以上の農業者の個人データを抽出。埼玉県後期高齢者医療広域連合が持つ、一人ひとりの医療費と突き合わせて比較することで、実際の医療費比較を行いました。埼玉県が間に入り、プライバシー保護に配慮しました。

 埼玉県の三田一夫保健医療部長は、「農家に元気な人が多いという実感はあったが、ここまで差があるとは思わなかった。農業の何が原因なのか判明すると、健康づくりに拍車を掛けることができる。県内に今回の研究結果を周知し、医療費抑制に役立てたい」と話しています。

 

 2016年4月16日(土)