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■世界初、卵アレルギーの原因遺伝子を持たない鶏が誕生 産総研などが発表

 

 これまでの遺伝子組み換え技術よりもはるかに正確に生物の遺伝子を操作できる「ゲノム編集」の技術を使って、卵アレルギーの原因となる特定の遺伝子を持たない鶏を誕生させることに、産業技術総合研究所茨城県つくば市)などの研究チームが世界で初めて成功しました。

 アレルギー原因物質の少ない鶏卵の開発や、受精卵を使って製造するワクチンなどの医薬品の安全性向上などにつながりうる成果といいます。イギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に6日、掲載されました。

 この研究を行ったのは、産業技術総合研究所農業・食品産業技術総合研究機構茨城県つくば市)などの研究チームです。

 ゲノム編集技術は、従来の遺伝子組み換え技術よりも、正確に効率よく遺伝子を改変できます。特に農水畜産物の品種改良分野での期待が大きく、豚や養殖マグロなどで研究が進んでいます。しかし、鶏などは遺伝子改変に適したタイミングで受精卵を操作することが難しく、ゲノム編集技術がほとんど使われてきませんでした。

 研究チームでは、受精卵ではなく産卵2日後の鶏卵から精子の基になる細胞である「始原生殖細胞」を取り出し、ゲノム編集技術で卵アレルギーの原因物質の1つである「オボムコイド」を作り出す遺伝子を取り除きました。

 この細胞をほかの鶏卵に移植し、ふ化させたところ、成長した雄の精子の多くにオボムコイド遺伝子がないことを確認しました。この雄と改変していない雌を交配させ、父親由来のオボムコイド遺伝子のない雄、雌が誕生。それらをさらに交配させ、両親いずれからもこのオボムコイド遺伝子を受け継がない鶏を生み出すことに成功したといいます。

 誕生した鶏は今のところ異常なく成長しており、今後、卵を産めるかどうかや、卵白にオボムコイドが含まれていないかなどを調べるといいます。

 産業技術総合研究所の大石勲総括主幹は、「ほかにもアレルゲンはあり、これで卵アレルギーが一挙に解決するわけではないが、ゲノム編集技術を活用することで、食用卵の安全性だけでなく肉質の改善などさまざまな応用が将来的に期待できる」、「最近では鶏の卵の中で医薬品を作る技術が登場しているが、今回のような技術を使えばアレルギーを起こしにくいワクチンや医薬品を卵を使って作ることが可能になってくると思う」と話しています。

 

 2016年4月13日(水)