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■発熱で体のまひ、全国で80人以上に増加 子供の9割に後遺症、エンテロウイルスか

 

 昨年の夏以降、熱やせきなどの症状の後に原因不明の体のまひを訴える子供が全国各地で相次ぎ、一部から「エンテロウイルスD68」が検出された問題で、子供の9割に今も手や足がまひする後遺症が残っていることが、厚生労働省の研究班の調査でわかりました。

 まひした腕に神経を移植するなどして症状を改善させようという取り組みも一部で始まっていますが、患者や家族には治療に関する情報が十分知らされておらず、専門家は、国や学会は情報提供の仕組みを作るなど対応してほしいと指摘しています。

 この問題は、昨年8月以降、東京都や神奈川県、大阪府、福岡県など全国20以上の都府県で、5歳以下の子供を中心に20歳代から50歳代の人も含めて80人以上が発熱やせきなどの症状の後に原因不明の体のまひを訴えたもので、一部からエンテロウイルスD68が検出され、その関連が疑われています。

 厚労省の研究班が、子供たちのその後の状況について調査したところ、調査が終わった46人のうち治っていたのは2人だけで、9割に当たる41人で手や足がまひする後遺症が残っていました。

 後遺症が残った41人はいずれも15歳未満で、両方の足がまひした子供が17人、左右どちらかの腕のまひが12人、両手両足のすべてがまひした子どもも4人以上いました。

 こうした子供のうち、腕がまひしたケースについて、体のほかの部位にある神経を移植する手術を行い、症状を改善させようという治療が一部で始まっています。過去に別のウイルスに感染し、腕がまひした子供が回復したケースがあって効果が期待されていますが、この治療法は発症から1年をすぎると効果が出にくくなるということです。

 厚労省の研究班のメンバーで、福岡市立こども病院の吉良龍太郎医師は、可能性のある治療法について十分知らされていない患者や家族が多いとした上で、「まひの子供にどういった治療法があるのか、リハビリなども含め広く情報提供できる仕組みを国や学会が作るべきだ。また、次にエンテロウイルスの流行が起きたらどう対応するのか、夏が来る前に健康被害を少しでも減らす対策を立てておく必要がある」と話しています。

 エンテロウイルスD68は通常、夏から秋にかけて流行し、主に発熱やせきなど呼吸器の症状が出るのが特徴で、重症化すると呼吸困難に陥ることもあります。

 アメリカでは、一昨年2014年に大きな流行が起きて多数の重症患者が報告されたほか、同じ時期に体のまひを訴える子供が相次いで報告されました。インフルエンザのウイルスと同じように、せきやくしゃみなどの飛沫にウイルスが含まれ、口や鼻などの粘膜から体内に侵入すると考えられています。

 特効薬やワクチンはありませんが、予防のためには手洗いやマスクの着用などのせきエチケットなどが有効だということです。

 

 2016年4月9日(土)