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■予期せぬ患者死亡、188件 医療事故調査制度の開始半年で

 

 患者の予期せぬ死亡事故があった医療機関に院内調査と第三者機関への報告を義務付ける「医療事故調査制度」で、昨年10月の制度開始から今年3月末までの半年間の事故報告件数は188件だったと、第三者機関「医療事故調査・支援センター」を運営する「日本医療安全調査機構」(東京都)が8日発表しました。

 厚生労働省が制度開始前に試算していた「年間最大2000件」を大幅に下回っており、機構は調査に消極的な医療機関があることや、制度が浸透していないことが背景にあるとみています。

 医療事故調査制度は全国約18万カ所の病院や診療所、助産所を対象とし、医療行為で患者の予期せぬ死亡事故が起きた時の報告を求めています。制度の開始前から国の関係機関が収集している医療事故報告や厚労省研究班の病院調査などを基に、届け出が必要な死亡事故は年間1300〜2000件と想定していました。半年だと650〜1000件に相当し、今年3月末までの届け出は3分の1から5分の1にとどまります。

 月別の届け出数は、今年3月が48件で最多でした。診療科別で多いのは、内科と外科の各29件(15パーセント)、整形外科20件(11パーセント)、産婦人科15件(8パーセント)の順。地域別では、関東・信越で82件、近畿で28件、九州で27件の届け出がありましたが、東北は5件しかありませんでした。

 院内調査が終わって結果報告書がまとまったのは、50件。遺族側は院内報告に納得できなければ機構に再調査を依頼することができ、これまでに2件が再調査となりました。これも「死亡事故件数の4分の1に当たる年間300件」との想定を大きく下回っています。

 機構は医療機関側から事前相談を受け付けており、1148件のうち267件が「医療事故として報告すべきかどうか」という内容でした。院内調査の手法の相談も273件あり、判断や手順についての現場の戸惑いがうかがえます。

 同制度の導入時には、国が院内調査に外部委員の参画を求めたことなどに、医療界の一部から「当事者が本当のことをいえなくなる」など反発の声が出ました。

 機構の木村壮介常務理事は、「届け出の少なさは『医療過誤だと認めることになる』とためらっているケースがあるからではないか。医療機関にアドバイスする役割を担う各地の医師会などが届け出に消極的な地域は、件数が少ない可能性がある。過誤の有無を問う制度ではないので、普及に努めたい」と話しています。

 医療事故調査制度は、医療の安全確保と事故の再発防止を目的に導入されました。民事訴訟などの紛争や刑事司法の介入を抑制する効果も、期待されています。厚生労働省は2008年、第三者機関が調査主体となる制度案をまとめましたが、関係者の同意が得られず撤回。改めての議論で、事故があった医療機関の院内調査を中心とする制度としてスタートしました。医療機関には対象事故の届け出義務があるが、怠った場合の罰則はありません。

 

 2016年4月9日(土)