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■人工知能が医師の診療を支援 自治医科大、新年度にも運用試験

 

 人工知能(AI)が医師の診療を支援するシステムを開発したと、自治医科大(栃木県下野市)と医療機器メーカーなど5社が28日、発表しました。

 患者の症状などを入力すると、人工知能は考えられる病名とその確率を計算します。新年度にも自治医大病院などで運用試験を始める予定。

 自治医大によると、これまでも人工知能が一つの病気についての治療法を見付け出す試みはあるものの、患者の症状や検査結果などから、複数の病気を提示する仕組みは世界でも珍しいといいます。

 システムは主に、ロボットも活用して電子カルテに入っている多数の患者の診療データなどを集約したビッグデータの医療データバンクと、それを使って個々の患者の病気の候補を挙げる人工知能からなります。

 患者は診察時に自分のIDカードをかざした後、症状や発症時期などをたずねる「予診票」を紙ではなく、受付役のロボットの指示で画面に入力。過去の診察結果や服用中の薬などとともに電子カルテに表示される仕組みで、医師は問診で症状をさらに追加していきます。

 それらの情報を受けた「ホワイト・ジャック」と名付けた人工知能は、医療データバンクをもとに、考えられる病名とその確率、必要な検査などを提示。さらに詳しい症状を医師が足すと、再度、病名を提示し、確率も計算し直します。可能性がある病気に対し、専門医がこれまで処方してきた薬の割合も伝え、最終的にそれらの情報から医師が診断します。

 例えば、「2日前から頭痛と微熱がある」と訴えて来院した患者の場合、人工知能は最初、片頭痛の可能性が高いという結果を示すものの、体の症状をより詳しく入力していくと、髄膜炎の可能性があることを提示します。

 すでに、医療データバンクには協力が得られた群馬県熊本県の病院で収集された過去6年間分の診療情報8000万件や医学論文が登録され、今後さらに、各地の医療機関などと協力し、診療情報のほか、介護や生活の状況も充実させていくといいます。

 システムは自治医大のほか、創薬支援などをしている会社「LSIメディエンス」や医療機器会社「東芝メディカルシステムズ」などと開発しました。これを使えば、医師は見落としてはならない病気や希少疾患に気付くのを助けてもらえます。若手の医師にとっては、経験不足を補うことができる可能性があります。

 自治医大の石川鎮清(しずきよ)教授(総合診療)は、「人工知能が病名を挙げることで、うっかり見逃してしまうことを防げるという支援の役割が大きい。また、人工知能の支援によって全国どこでも標準的な医療を受けられるようになる」と話しています。

 

 2016年3月29日(火)