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先天性水頭症

 

生まれ付きの異常により、脳脊髄液がたまって脳室が拡大する疾患

 先天性水頭症(すいとうしょう)とは、生まれ付きの異常によって、脳脊髄(せきずい)液(髄液)が頭蓋(とうがい)内にたまり、脳の内側で4つに分かれて存在する脳室が正常より大きくなる疾患。

 脳脊髄液は、脳全体を覆うように循環して脳保護液として働き、脳を浮かせて頭部が急激に動く衝撃を柔らげたり、部分的な脳の活動によって産生される物質を取り除く働きも併せ持つと考えられています。脳室で血液の成分から産生されて、1日で3回ほど全体が入れ替わる程度のスピードで循環し、最終的には、くも膜という脳の保護膜と脳との間に広がっている部位から吸収され、血液へ戻ってゆきます。

 この脳脊髄液の産生、循環、吸収などいずれかの異常によって、脳脊髄液が頭蓋内に余分にたまると、脳を圧迫し、脳機能に影響を与えます。

 先天性水頭症は、出生1000人に2人程度発生しています。原因としては、先天的な障害(奇形)や、母胎内での感染が挙げられます。

 いくつかの骨が結合してできている頭蓋骨は、生まれてしばらくの間、骨同士の結合が弱く、軟らかく組み合わさっています。生まれ付き水頭症を持っている乳児や、頭蓋骨の結合が軟らかい時期に水頭症になった乳児は、脳脊髄液が頭蓋内に余分にたまって大きくなった脳室の圧力によって、頭蓋骨を押し広げる状態が続く結果、頭が大きくなることが起こります。

 頭の拡大が目立つ乳児までの時期以降、余分な脳脊髄液による内圧の上昇は、脳を直接圧迫する力となり、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)を引き起こします。食欲不振、体重減少、全身倦怠(けんたい)感など頭の症状とは考えにくいことも起こり、長い間、気付かれない場合もあります。また、神経への影響から、視力の低下、目の動き方の不自由などを起こします。

 乳幼児の頭が異常に大きければ、脳の疾患を疑って小児科、ないし脳神経外科を受診することが勧められます。

先天性水頭症の検査と診断と治療

 産婦人科、あるいは小児科、脳神経外科の医師による診断では、妊婦の超音波(エコー)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査で、胎児水頭症の診断がつくことがあります。確実に診断できるのは、妊娠22週をすぎてからです。

 出生後は、頭囲の拡大や、大泉門(だいせんもん)という前頭部にある頭蓋骨の透き間の緊張、ほかの合併する奇形から確定します。頭部X線(レントゲン)検査や超音波検査MRI検査を行うと、頭蓋骨の骨と骨をつなぐ縫合線の離開、脳室の拡大などが認められます。

 小児科、脳神経外科の医師による治療では、先天性水頭症そのものに対する治療としては、一時的な緊急避難的な治療と、永続的な治療が行われます。

 一時的な治療では、ドレナージと呼ばれる方法が一般的で、余分な脳脊髄液の一部分を頭蓋骨の外へ流す処置の総称です。頭の圧力が急上昇した状態による病状の不安定さを解除するために、救急処置として行われます。

 永続的な治療では、シャントと呼ばれる手術法が一般的で、年齢、原因を問わず行われています。本来の脳脊髄液の流れの一部分から、シリコンでできたシャントチューブと呼ばれる細い管を用いて、頭以外の腹腔(ふくこう)や心房などへ脳脊髄液を半永久的に流す仕組みを作ります。

 内視鏡手術も行われています。神経内視鏡を用いて、脳の内部に本来ある脳脊髄液の流れ方の経路とは別に、新しい経路を作ります。治療できる年齢や原因に制約があり、シャントにとって変わる治療法にはいまだ至っていません。

 単純な先天性水頭症では、早期に適切な治療を行えば3分の2程度の例で、正常な脳の成長が期待できます。予後に関しては、ほかの合併する奇形にもより、さまざまです。